




冒険館の最寄駅となるのはJR山陰本線の江原駅
(写真1枚目は駅前広場)です. 当日は18切符使用の大阪スタートでしたが普通乗り継ぎで約4時間、特急でも2時間半とかなりの長旅です. 駅からは徒歩で1時間となかなか遠め. 交通手段となる全担バスは1時間に1本程度、加えて土日は運休する便もあります. 探訪当日の行きは、途中までタクシーを使用しました.
駅の中心部から離れた場所から歩くと、そこはゆったりとした山間の田園風景
(写真2枚目)が広がります. 冬明けの時期だったため、奥の山には雪がちらほらと残っていました. こういうのどかな風景に憧れます. 冒険館の看板が見えて到着. 看板の奥に見える大きい建物
(写真3枚目 奥)は丹波銀行のビルで、ごく稀にあれを冒険館と間違える人がいるようですが、冒険館はそのビルの南隣にある細い通路が入口となった建物
(写真4・5枚目)ですのでお間違いなきよう.






兵庫県北屈指のリゾート地である神鍋(かんなべ)高原に建つこの文化施設は、この日高町で生まれ育った植村直己
(うえむら なおみ)氏の偉業を讃える目的で1994年に開館. 植村氏の経歴に関してはたびねすの記事にて書いてるので省略しますが、世界初の五大陸最高峰登頂・犬ぞりによる人類史上初の北極点単独行を達成したことから『冒険家』として世界的に知られます.
「コアやまくに」や
「平等院ミュージアム鳳翔館」等の作品も手掛けた栗生明氏による冒険館のメインは、アプローチから館内の端までを長く一直線に伸びる通路です. 初めは手摺程度の高さしかない両脇の壁は、スロープを降りるごとにどんどん高くなり、館内では約5〜6mほどの打ち放し壁がそびえるシンボリックな極狭空間に. 雪渓などに形成されるクレパス(割れ目)を模しており、上部は鉄骨とガラスを組み合わせたトップライトになっています. 両脇が打ち放しなので、実際に手をパァンと叩くと音が何重にも反響するのが結構楽しかったです.






こちらでは通路以外の館内の様子をザザッと掲載. 館内は有料ながら、展示物のスポット撮影でなければ撮影OKです. 当サイトでは有料価値を考慮して、有料スペースの写真はロゴ付き
(利用・転載厳禁)にしています. 料金を払うと初めに映像ホールにてビデオを鑑賞します. ちょっと長めですが、植村氏に関して認識の薄い方でも、植村さんってこういう人なのか〜と大枠を理解するには十分な情報量. 展示を見る前に、ああいう基礎知識を補えるビデオは個人的に嬉しいです.
展示室や体験コーナーの大まかな説明は、たびねす記事内にて詳しく説明しているため割愛. 気になったのが、冒険のノウハウをテーマ毎に紹介するパネル
(写真3枚目 下部分)が、数秒毎に反転フラップ式でガコンガコンと変化していくのがユニークでした. 通路から南の扉を出ると、横移動型のクライミングウォールが設置された中庭
(写真4枚目)と、2003年に増築された新館
(写真5枚目)があります. 新館には展示ギャラリーの他に、植村氏が幼少期を過ごした日高の風景をゆったり眺められるテラス
(写真6枚目)が設けられていました.






最後は冒険館の屋上です. 中庭から見るとコンクリート壁の存在が大きかった外観ですが、こちら側は採光部分であったガラス部分だけで、展示室等は地下に埋没させた外観になっています. 『自然を支配するのではなく、順応する』という植村氏の精神を反映させ、世界的冒険家の精神を培ったこの日高の原風景との共生を意識してデザインされています. 実際に立ってみると建物としての存在感は鳴りを潜め、自然の風景に大きな違和感もなく溶け合っているように感じました.
ガラス部分は、植村氏の生涯を写真や当時の新聞記事で記したメモリアルウォール
(写真2・3枚目)という野外展示物になっており、夜になると内側からライトアップされて幻想的に映し出されるそうな. ウォールの奥にあるスロープの末端は屋根付きテラス
(写真5・6枚目)となっており、地面に設置された冒険方位盤や鯉の泳ぐ池を眺められました.
打ち放しやガラスを多用したりとデザインは現代的ながらも、植村氏のストーリー性を上手く反映させており、建築としての魅力をスッと飲み込めたのが良かったように感じます. 豊岡が生んだ世界的冒険家の記念館へ、道のりは遠いですが興味があればぜひ一度.
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