





先述の通り、博物館へはJR江原駅西口
(写真1枚目)から徒歩で約10分、国道が交差する祢布(にょう)交差点の北西に建つブラックカラーの建物です. 交差点から見えるファミレス
(写真2枚目)と見比べると、奥にある博物館が非常に平べったいフォルムであることがよくわかります. 博物館としての案内がパネルしかないため、車での来館の場合は建物を見分けるのに苦労しそうな感じでした. もう少しばかり看板の存在感を出したほうがいい気がします.
この博物館では豊岡の歴史、特に但馬国府・国分寺に関する歴史遺産を展示しています. かつての豊岡は令制国時代における但馬国
(たじまのくに)の中心で、博物館のすぐ東に展開する『祢布ヶ森遺跡』には、今の役場にあたる国府が置かれていたことが近年判明しました. 付近には国府だけでなく、国家鎮護のための国分寺の跡地も見つかっており、これらの歴史をテーマとした博物館として2005年に開館. 『但馬国府・国分寺館』とも呼ばれています.






外観は展示室・収蔵庫が入る黒い直方体を4つ並べたシンプルな構成で、その間に白色カラーの入口・開口が設けられています. 外装には国産のスギ集成材を使用しており『貴重な宝物を納める宝箱』としてデザイン. 均一のハコをムダなく綺麗に配置させたその佇まいには、シンプルだけでは片付けられない美しさを感じます. ハコの形を維持するため、極薄で軒を仕上げるディティール
(写真4枚目)に感心. 建物の手前に砕石を敷き、入口までを橋のような通路
(写真2枚目)でつないだ様子は枯山水のよう. 手前の小さな木組み屋根
(写真5・6枚目)も実に立派なものでした.
館内は残念ながら撮影禁止. 東側の2つのハコは中央に中庭が設けられており、庭には植物が植えられています. あのクローズな外観とは裏腹に、ああいうユニークな光の取り方は見てて気持ちがいいです. あまり他の建築と関連づけることはしないのですが、中庭を見たときは
「大和文華館」の展示室中庭を思い起こしました. 古代資料が数多く展示された展示室はなかなかに見応えあり. 但馬の歴史を1から学ぶ場合は、奥の映像ホールにあるビデオ映像を鑑賞するといいです.
雰囲気的に一切のムダがない、和の要素も組み入れたモダニズムスタイルの見事な建物なのに、あまり話題になってないのが実に惜しい限りです. 当日訪問したときは私以外誰もおらずガラガラという状況だったので、豊岡市はもっとアピールしてもいいんじゃないでしょうか. 栗生氏の代表作である植村直己冒険館から比較的近い場所に立地していますので、ぜひ探訪の際は2施設セットで栗生デザインを堪能していただければと思います. では今回はここまで〜.
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