




では早速市役所手前からスタート. 駅から市役所までの町並みや『豊岡復興建築群』については「豊岡1925」にて解説していますので、そちらをご観覧ください. 市役所は大開通りに向かい芝生広場として広く解放しており、その奥に真っ白な旧庁舎がシンボリックに建つ姿はとても印象的です. 外観
(写真3枚目)は左右対称で、中央と両翼部に細長いアーチと窓を入れ込んだスパニッシュ風のデザイン. 外壁に施された幾何学装飾
(写真4・5枚目)も良いですね.
豊岡復興のシンボルとして1927年に建てられた旧役場は、神戸を拠点に活躍した原科準平
(はらしな じゅんぺい)氏の手で完成しました. 原科氏は大蔵省技官として勤務し、神戸にて多くの建物を手掛けますが、現在は「日本基督教団神戸教会」とこの旧庁舎くらいが現存するのみとなります. 復興建築としてRC造で建設された庁舎は、昭和初めの当時としても珍しいものだったとか. 竣工当時は2階建てでしたが、市政施工にあわせて1927年に3階が増築されています.






市の本庁舎として機能する一方で、手狭な本庁舎を周辺の施設を分庁舎に転用することでカバー. 吉田鉄郎氏が手掛けた「南庁舎
(旧豊岡郵便局 ※解体済)」もその一つで、これが庁舎内アクセスの不便となり、加えて老朽化・耐震性の問題もあって新庁舎建設が検討され始めます. 2008年策定の新庁舎基本構想
(pdf)にて旧庁舎保存活用の可能性検討が明記され、2014年に旧本庁舎を残す形で新庁舎が建設されました. 以前は25mほど北にあった庁舎を現在の場所まで曳家で移動させており、神戸新聞社によるYoutube動画
(URL)にて工事の様子が公開されています.
写真は玄関や内部を撮影したもの. 館内は開館時間内であれば自由に入れます. 工事時に内部は大幅に改修され、現在は市立交流センターと市議会議場が入る施設に新しく生まれ変わっています. 議場のフロアを市民交流のフロアで上下に挟み込む構成
(写真4枚目の案内図より)は斬新です. エントランス
(写真3枚目)は外観に合わせてレトロに仕上げていますが、雰囲気的に新しい. 竣工時の面影がありそうなのは、2階までの階段手摺
(写真5・6枚目)がそうかな〜という感じでした.
2016年には国指定登録有形文化財に指定され、豊岡を代表する近代建築としての注目度が高まりつつある旧役場へは、豊岡駅から駅前通りを歩いてすぐです. 豊岡市は本当に近代建築を大事にしているという意気込みが伝わってくる、誠に素晴らしい近代建築スポットでした.
- 関連記事
-
コメント