




それでは最初は記念館の最寄駅となるJR紀勢本線の白浜駅
(写真1枚目)からです. ジャイアントパンダで有名な「アドベンチャーワールド」や「とれとれ市場」のある和歌山県の海の観光地・白浜までは特急くろしおで新大阪駅から約2時間30分ほど、東京からの場合は南紀白浜空港と羽田空港を日本航空(JAL)が結んでいます. 古くから温泉地として栄えており、道後温泉・有馬温泉と並んで南紀白浜温泉は日本三古湯の一つとして認知されています.
駅からは明光バス
(写真2枚目)に乗って臨海(円月島)バス停を目指します、バスで移動する場合は1時間〜1時間30分ごとに1本と頻度が少ないので時刻表をよくご確認ください. 写真3枚目はバス停降りてすぐの光景ですが、記念館へはここから看板に従って更に歩きます. 道中では「京都大学白浜水族館
(写真4枚目)」や夕景の名所として知られる白浜のシンボル「円月島(高嶋)
(写真5枚目)」を見ることができたりと、海関連のスポット多いエリアです.







水族館の建物を通り過ぎると、記念館の建つ「番所山公園」の入口
(写真1枚目)に到着です. 白浜半島の北西部を占める『番所山(標高約33m)』は江戸幕府による鎖国の一環として、紀州藩が異国船の見張り番(遠見番所)をおいたことが名の由来. 昭和初期にはレジャー地として遊園地や動物園があったようですが閉園し、長らく放置状態になっていたところを2014年に公園として再整備しました.
記念館はこの山の頂上ということで、道中は傾斜のキツい坂道
(写真2枚目)が続きます. ただしこれは入口から記念館までを最短経路で歩いた場合ですので、展望広場などを経由して歩くと傾斜は緩やかになると思います. 閉園からほぼ半世紀ほど手付かずということもあってか、道中には様々な緑が密集して生い茂っているのがいい感じです. 頂上付近にある階段
(写真3枚目)を登っていくと、やっとこさ記念館へ到着でございます. かなり長めの道中でした.
この記念館は和歌山出身の博物学者である南方熊楠
(みなかた くまぐす)氏の業績を讃えた施設として1965年に開館しました. 手前の広場からすぐ手前に見える純白でソフトな外観をした建物は、今回のリニューアル最大の特徴である2017年に竣工したばかりの新館
(写真4枚目より)です. 設計はシーラカンスアンドアソシエイツ(CAt). 近くで見るとすごくホワイトが目立ちますが、遠くから見ると木々の緑にうまく隠れるようにピロティで上げています.





もう少しだけ記念館の外側を. 入口の横にある案内図
(写真2枚目)をみると記念館は新館・本館の2棟構成で、今回の新館は本館手前に設けられた増築部ということでしょうか. 新館1階はほぼ全面をガラス張りで囲んでオープンな空間
(写真1・3枚目)に仕上げているのもいい感じ. 山の頂上という険しく狭い地形ですので、非常に難解な工事だったでしょう. 奥に建つモダニズムな建物
(写真4・5枚目)は開館時から建つ本館. 磯達雄氏のtwitter情報では野生司義章
(のうす よしあき)氏の設計ということですが、申し訳ないことにこの建築家に関してはよく知りません.






それでは新館1階のエントランス
(写真1枚目)から記念館内へと入っていきます. 現在の入館料金は大人500円・子供300円. スタッフに確認したところ展示室以外撮影OKということで、有料となる館内・屋上庭園写真はロゴ付き
(利用・転載NG)で掲載します. エントランスの中央には建物天井から円筒のオブジェ
(写真2枚目)が吊り下げられ、天窓から自然光がスーッといい感じに降りてきていました. この場所は番所山のビジターセンターとしても利用されるようです.
続いて階段
(写真3枚目)を登って2階へ. 真っ白な壁が緩やかに連続する、ちょっとミステリックな感じもしたユニークな空間です. 撮影禁止の常設展示室は一転して黒一色の部屋に. 開放的な白の空間から収蔵品の眠る黒の空間へ、トンネルのような入口
(写真4枚目)を潜って引き込んでいくアプローチは個人的にグッときます. 本館をつなぐブリッジ
(写真6枚目)は椅子と机が備え付けられており、白浜の海と座りながら眺めることができます. 何気に嬉しいコンセント付き.
和歌山生まれの博物学者・南方熊楠氏に関する業績は化学論文誌『ネイチャー』の日本人最高掲載記録、『南方曼荼羅』に代表される民俗学者、7000種以上に及ぶ粘菌を集めた生物学者、昭和天皇陛下にに御召艦『長門』にてご進講、エコロジー活動家など偉業は様々. 一方で酒豪で癇癪持ちのトラブルメーカー、『歩く百科事典』と称された驚異的な記憶力、孫文との親交など名・珍エピソードも満載で、本義的には博物学者では表現しつくせないほど様々な逸話に事欠きません. 更に詳しい内容はwikiや記念館HPをご参照ください.






最後は階段を更に上にのぼって、屋上展望台へとでてきました. 番所山の頂上から見渡す太平洋・田辺湾のオーシャンビューは圧巻の一言. 一つ一つのデザインが微妙に異なる腰掛け
(写真2・5枚目など)では子供達が円筒の穴に入ったり段差を大喜びで飛び越えたりと、実に楽しく使われているのが印象的でした. 惜しいと感じたのは本館屋上
(写真4枚目)も立入れればと思ったのと、手摺等のスチールに触れるごとに静電気がバチバチきてしまうのがキツかったです.
記念館探訪レポートはここらへんで. 規模としては小さめながら真っ白でユニークな外観、山の頂上から見渡せるオーシャンビューのロケーションも素晴らしい. 加えて逸話に事欠かない世界的博物学者の記念館という超濃密なコンテンツ要素もグッド. 白浜までは遠かったものの、実に充実した建築&南方ワールド探訪となりました. 今回は日帰りでしたが、いつかは温泉とセットで来たいと思います.
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