2017/05/30




銀行があるのは長崎電気軌道 五島町電停のすぐそば(写真1枚目 中央に電停・右に銀行)です. 長崎のメインターミナルであるJR長崎駅から徒歩で移動可能な距離にあります. 高層ビルが立ち並ぶ大波止通り(国道202号)の中で、ひと際小さい石張りの銀行建築は「善照寺本堂」や「芹沢銈介美術館」を手掛けた20世紀の鬼才・白井晟一氏の作品. 親和銀行に関わる白井氏の建築としては、他にDOCOMOMO100選に選ばれた「親和銀行本店」があります.
1963年の竣工から半世紀以上が経ってもその姿をほとんど変えずに残る大波止支店ですが、そのアクのない美しい造形は路面電車の車窓からでも独特の存在感を放っています. 正面壁を湾曲させて中央に細長いアーチを設ける構成(写真3枚目)は、後の「ノアビル」の基壇部や「渋谷区立松濤美術館」でもみられるもの. しかし先の2件はアーチが入口を兼ねるのに対し、こちらはスチールの縦ルーバーで覆われた開口部になっています.




キャノピーと建物の間には水盤(写真1枚目)が設けられていますが、水は惜しくも抜かれておりました. 訪問時期は非常に暑い8月だったのですが、クーリング目的で限定的に流すのもアリではなかったかと思います. 支店内へは北側の扉(写真2枚目 左奥)から入館. 現役の銀行のため写真撮影禁止ですが、吹き抜けの営業室には当時からのユニークなディティールが残っているのが素晴らしかったです.
建物そのものはあっさりとした印象ながらも、後の作品に通ずるデザインも数多く見られる意欲的な作品であることが十分に伺えた白井建築探訪でした. 選定を契機に、今後とも長く残ってほしいものと思います.
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