



最寄りとなる膳所駅から徒歩にして3分程度、主要道路である県道18号線の北側に建つホワイトカラーの商業施設. 雛壇状に段々となったテラスも目立ちますが、それ以上に特徴的なのが両脇に何本も設けられた外部階段. 階段は東側に12本
(写真2枚目)、西側に10本
(写真4枚目)設けられており、一番道路側の階段は各階のテラスを繋いでいます. 建物から直角方向に踊り場が付き出しているため、招き猫が何匹もおいでおいでしているようなユニークな存在感を放ちます.





2階フロアへ上がり、もっと外部階段に近づいてみます. ここまで無数の階段がグワッと押し寄せてくると、もう階段としての機能性云々よりデザインの強烈さしか印象に残りません. すごい. 滋賀県の顔である琵琶湖に背を向ける形で建てられている西武大津店は、高度成長も終わり頃の1976年の竣工. 設計は「都城市民会館」や「江戸東京博物館」等を代表作に持つ菊竹清訓氏で、時期としては中期作. 滋賀県下で公共・商業的用途の菊竹建築は、これが唯一と思われます.
微細な装飾等で魅力的に表現された百貨店は幾つか知っていますが、何本もの外階段を建築のキャラクターとして成立させた百貨店型の商業建築は全国でもここだけでしょう. 階段をデザインとしてどストレートに用いる豪胆さは、菊竹氏ならではって感じがします. 雛壇テラスの各階は前面が緑化され、膳所の市街地を広く見渡せるのが気持ち良さそう
(写真4・5枚目). 残念ながら当日のテラス解放は18時までで、階段越しのテラス見学でした.




階段やテラス以外のユニーク要素を求めて建物を一周してみることに. 東西両脇の外階段のすぐ真裏にある細長い建物のパネル外壁模様
(写真2・3枚目)が幾何学的でカッコいい. 初めは増築と思ったのですが、びわこ大津経済新聞の写真(
リンク)を見ると竣工当時からある模様. 琵琶湖側を立体駐車場が占めており、景観のいい琵琶湖の眺望に背を向けた理由が気になりましたが、既に北側に高いマンションが建っていて、先述した写真にも既に建設中の様子が映っています. これでは琵琶湖は見にくいですね.
現役の商業施設のため内観撮影は自粛. 名称が『百貨店』ではなく『ショッピングセンター』なのは、専門店の比率が高いためとか. こんな大規模な7階建てがショッピングセンターというのも、当時ならではでしょうか. 6・7階の一部は吹き抜けとなって、屋根勾配のある天井と照明配置が独特の面白い空間が広がっていました. 菊竹デザインの百貨店建築、大胆なデザインが与えるインパクトの重要性を身に染みた探訪となりました. 大津探訪の際には外せない建築スポットです.
- 関連記事
-
コメント