




お店があるのは片山津温泉街と加賀橋立集落のほぼ中間. 周囲にはバス停が存在しないため、一番近いバス停からでも約2.7km(徒歩約40分)の距離があります. 加えて道も所々が丘になっているため、体力的にOKな人以外は車移動がベターです. ただし道路から
(写真1枚目)見てもわかるように、目立った看板を掲げていないので非常に見つけにくいです. 場所は事前にしっかりと調べておきましょう. 私は車のカーナビが見当違いの場所を示し、北の集落で迷子になりました.
周囲
(写真2枚目)は森林と田畑が延々と続き、他の民家の気配は一切ありません. 広大な緑の中に突然姿を表すケーキショップは、建築家・堀部安嗣
(ほりべ やすし)氏の設計により2012年にオープン. 高知にある「竹林寺納骨堂」で建築学会作品賞を受賞したことでも知られる堀部氏. 住宅を中心的に手がける建築家で、こちらは現時点で数少ない公共的な用途の建築作品の一つになります. 夏に訪問したため、木々の緑に紛れながら悠々と佇む雰囲気
(写真3〜5枚目)が素晴らしいです.




こちらでは入口とは逆方向から見た外観をいくつか掲載. シルバーの方形屋根が乗る平屋建ての建物. 派手さのないシンプルで素朴な雰囲気は、建物というより小屋に近いフレンドリーな印象を受けます. 奥に見えるガラス張りのスペース
(写真3枚目 奥)はカフェ空間で、奥の広大な自然風景に向かってオープンになっています.
すごい場所に建てたな〜と思わされるこちらの建物ですが、当初この場所にはクルミ・イチョウの木
(写真4枚目 手前の木はその一本)以外何もない土地だったようです. そのため水道・電気等のインフラも一から整備して設計して建てられた模様. 店名「イヴェールボスケ」はフランス語で『冬木立』といい、冬の厳しい加賀の土地でも木のように凛として立つという意味が込められているそうな. 建築が自然に寄り添っている感じが、店名からもじんわりと伝わってきます.





そしてこちらは店の玄関の様子. コーナーの角をヘコませて深い軒で人を引き込み
(写真1・2枚目)、床の大谷石
(写真4枚目)や照明
(写真5枚目)のデザインも含め、非常に落ち着きのあるアプローチです. 店内は販売スペースの他に『静カフェ』があり、店内撮影禁止・携帯マナーモード・私語最低限として各々が静けさを楽しめるカフェになっています. 店内中央はトップライトのあるシックな空間でしたが、私は先述したガラス開口のあるカフェスペースに通されました.
当日はモンブランと林檎ジュースを注文. 温かみのある木の内装で大きく統一され、ガラス開口から望める加賀の大自然を眺めていると、後の予定も忘れてしまうほどにリラックスできる. その感覚は談笑のあるカフェというより、住宅のテラスのようなゆったり感に近いものでした. 堀部氏の温もりある建築と同じく、この雄大な自然の中でカフェをやろうするオーナーさんの熱意にも感服の思いです.
カフェを終えて最後の外観撮影中に、わざわざオーナーさんが玄関まで挨拶をしに出てきてくれました. 当初は写真の撮りすぎで怒られるのかな〜とビクビクしてましたが、近々5周年イベントをやるので来てくださいとご丁寧に案内をしてくださりました. 緑を眺めながらゆったりと、そして静かにリラックスできる、そんな素晴らしいカフェをご提供してくださり、こちらこそ本当にありがとうございました. 加賀の自然に囲まれた建築カフェへ、ぜひ一度訪れてみてください.
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