





写真1枚目は山代温泉街の一角の様子です. 西を大聖寺川、東を薬王院温泉寺の旧寺領『薬師山』の丘陵地に挟まれた地形に広がる温泉街. 北陸最大の歓楽温泉街として名を馳せた山代温泉ですが、バブル崩壊期と同時に利用者が減少. 廃業する旅館が現れながらも、現在は能登の和倉温泉と石川県下でのトップ争いを繰り広げているそうな. 近年ではアモルフ設計の「べにや無何有」が注目され、リゾート温泉施設等による立て直しが図られている感じです.
総湯は山代温泉街の中心にあります. 山中・片山津などの他の加賀温泉郷と異なる点として、山代温泉の総湯は中央にある「古総湯」
(写真3・4枚目 手前)と南隣に建つ「総湯(新総湯)」
(写真3・4枚目 奥)の2施設で構成されているところ. 2階屋根を赤褐色の古瓦、1階屋根をこけら葺きで仕上げた「古総湯」
(写真5・6枚目)は、明治19年に建てられた総湯をモデルとして、2010年に復元された山代温泉のシンボルです. カラン・シャワーのない明治期当時の入浴スタイルを楽しめます.






そして古総湯よりも1年先駆けて完成したのが、道路を隔てて南に建つ「総湯(新総湯)」です. 総湯を中心に町並みが形成された『湯の曲輪(がわ)』の文化を継承し、古総湯に調和する赤瓦と木のデザイン. 内藤氏は日経アーキテクチャにて『古総湯が主役、新総湯は脇役』とコンセプトを説明しており、古総湯を中心とした悠然たる温泉街の景観が再生されていました. 広場設計はナグモデザインが担当し、他の内藤氏の作品では「JR日向市駅舎」の街路設計にも関わっています.
以前に新総湯の場所にあった、北大路魯山人ゆかりの「旧吉野家旅館」の門
(写真3枚目)をくぐって館内へ. 残念ながら、内部は休憩スペース含め撮影禁止. 広々とした浴室は中央にトップライトが設けられた檜張りの天井と、一部壁面に貼られた色鮮やか九谷焼タイルが見所. 石川水田丸産の石でできた浴槽は底が比較的浅く、肩まで浸かろうとするとトップライトを見上げる姿勢になるのがグッド. すごく贅沢な温泉体験でございました.
こちらもそうですが、加賀温泉郷の総湯ですと谷口吉生氏の
「加賀片山津温泉 総湯」もその一つ. ガラスカーテンウォールの谷口建築と、景観調和の木造和風の内藤建築が、総湯という形でJR線を挟み相対するのは後にも先にもこの加賀温泉だけではないでしょうか. 加賀温泉ではぜひ2つの温泉・総湯建築の比較を楽しんでみてください. ではでは.
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