





では最初はJR北陸本線の小松駅から. 中央のガラスから列車が見える高架駅ですが、科学館がある東隣はガッツリ工事中
(写真2枚目). 小松駅は今後北陸新幹線の敦賀延伸に伴い新幹線駅に昇格予定. 将来的に『小松の次は金沢』の時代がきます. ただ同市内には石川南部の代表空港である「小松空港」が羽田を結ぶため、新幹線は首都圏からよりも関西・甲信越からのアクセス向上に期待できそうです.
写真3枚目は駅前東口から撮影したものですが、もう既にプロムナードの先に科学館が見えています. 自分の足で徒歩約60秒の駅チカ建築. 手前に緑の芝生が広がり、一部は屋上の湾曲屋根に連続する. 施設名の通りに緩やかなヒルズ(丘陵)を形成しています. 新建築で見た当時は柔和なイメージでしたが、実際見ると力強い. 撮影のちょっと前にとある親子連れがいたのですが、そのお子さんが建物のデザインに大はしゃぎしていたのが記憶に残っています. うん、同感.







さてさて外観やら屋上やらじっくりといきたいのですが、今回は内観を先に紹介. というのも、この日は閉館時刻の早い
「宮本三郎美術館」や「本陣記念美術館」を優先した結果、閉館20分前というギリギリの訪問に. 無料ゾーンが17時まで開館していなかったら、小松探訪が相当キツかったと思います. 突端の鋭角のデザイン
(写真1枚目)に個人的にグッとくる、庇兼用の湾曲屋根の先に玄関
(写真2枚目)があります. さらに奥のガラスの向こうに丘の緑が見えているのがイイですね.
3枚目からは館内の写真を、受付に掲載OKの確認してたら閉館10分前. かつてJR小松駅東側に広がっていたコマツ(小松製作所)小松工場跡地は、現在『こまつの杜』というテーマパークとして整備され、その一角に2014年全面開業したのがこちらの科学館. 当初はコマツの施設かなと思いましたが、問い合わせ先は小松市教育委員会になっているので、市営の施設だと思います.
館内は白が基調の明るい空間で、湾曲する天井が科学館の雰囲気と相まって近未来感があります. 湾曲天井といえば西沢立衛氏の
「豊島美術館」や伊東豊雄氏の「ぐりんぐりん」といった無柱シェルを連想するのですが、ここでは数本のポール
(写真3・4枚目)が支柱となっています. そこを子供が柱を目印にグルグルと歩き回る光景を見て、柱の存在の重要性にハッと気づかされたりも. 階段の途中には隣接するエレベーターの解説図
(写真7枚目)もあったりと、子供から大人までへぇ〜と学べる科学技術が満載です. 次回はしっかり有料ゾーンも入りたいです.






閉館時間がきたので、中庭広場から外に出て屋上空間へ向かいます. 奥に芝生の斜面がありますが、緑が多かった正面外観と比較するとコンクリ率が高い広場
(写真1・2枚目)です. 緩やかな緑の屋根が山ならば、さしずめここは荒く削られた灰の渓谷のよう. 遊歩道を登るにつれて小松の市街地を見渡せるようになり、天気が良ければ霊峰・白山を見渡せるそうです. 3Dホールの球体では水平方向にボルダリング
(写真4枚目)ができたりと、アクティブな仕掛けも用意されています.
建物は『スタジオ建築計画』代表の元倉眞琴
(もとくら まこと)氏と、『UAO株式会社』代表の伊藤麻理
(いとう まり)氏の2人の建築家の共同設計案がコンペにより採択. 途中埋蔵文化財が出たり等と紆余曲折があったものの、屋上の緑を楽しむ丘のランドスケープ建築が2013年に竣工となりました. 施工を担当した熊谷組が科学館の記事を公開(
記事リンク)しており、建築も職人の方々による『偉大なるものづくり』であると、そう強く訴えかけてくれる記事になっています.




屋上マップ
(写真1枚目)をみると遊歩道が右へ左へ時にはUターンとグネグネしており、傍には多様な植物が植えられています. 見てるだけだと緩やかそうな道も、実際に歩くと山登りのような傾斜もあったりと、歩くだけでも軽い運動したような気分. 屋上空間は夏期(5月〜8月)は19時まで、それ以外の通常期は17時まで入場可能です(レストランは22時まで). 南側にまわると2つの山状の湾曲屋根が連続する、これぞザ・ヒルズな外観
(写真4枚目)が見事でございました.
コマツ発祥の地となった工場跡は、ものづくり精神を未来へと伝承する学びの科学館へ. 新幹線も数年で開業しますので、今後注目される可能性の高い現代建築でございます. また私自身も『建築は偉大なものづくり』という認識を再確認して、ものづくりへ感謝をしながら謙虚に活動を続けていこうと改めて思うのでした.
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