

心斎橋エリアを東西に横断する長堀通りを建物一面がギラギラと輝き、奥のユニクロに負けない圧倒的な存在感を放ち、夜のランドマークとしての地位を確立させています. メインテナントはスペインの有名アパレルショップ『ZARA』です. La Porte(ラ・ポルト)とはフランス語で『門』と、長堀通り側からみた心斎橋への門という意味で名付けられたものでしょう.
設計したのは株式会社プランテックを主宰する建築家 大江匡
(おおえ ただす)氏です. 東大建築学科卒業後に菊竹清訓氏の事務所に所属し、1985年に同社を設立しました. 様々なジャンルの建築を手掛けており、モダニズムよりの建築家という印象があります. これ以外に大阪で手掛けた作品には「クロスウェーブ梅田」や「南海ターミナルビル再生計画」、アップルストアのある「アーバンBLD心斎橋」など、印象的なファサードのある建築を手掛けています.
実はこれが竣工するまでは、この場所に黒川紀章氏設計の「ソニータワー大阪」がありました. メタボリズムの代表作としても名高い「中銀カプセルタワービル」から4年後の竣工で、カプセルユニットのトイレが取り付けられた名建築でしたが解体され、大江氏設計のこのビルが建つことになります. しかし当時黒川氏はまだご存命
(2007年死去)だったので、竣工前から両氏が喧嘩になり話題となったというエピソードがあります. 内容はわからずじまいです


このビルの主なファサード要素は2つあり、一つは全面に輝く北側ファサードです. 昼間は美しいエメラルドグリーンに彩られ、夜はこのように光り輝きます. 縦50m×横40mほどの超巨大なガラスファサードは、室内照明具に用いる白色樹脂を強化ガラスに入れ込んだダブルスキン. 横にキズの入ったように見える模様はセラミックプリントで印刷されています . ZARAのある低層階部分にもガラス部分と同じ接合金物が取り付けられており、そのディティールがよく解ります. 黒の充填材が上まで伸びていると思うのですが、あまり気になりませんでした.


もう一つはこの『トルネードビジョン』です. 縦50m×幅5mのビジョンに設置されたLEDの数はなんと12,000個、ビジョンは低層から高層につれて70°ほどねじれていきます. 多方向に広告が映ることで、周辺全域に一つのメッセージが共有されることをコンセプトとしているようで、当日行ったときはZARAと欧州旅行会社の広告が流れていました.
もちろんZARAだけではなく様々なテナントが入店しています. 竣工当時から残るのは『ZARA』と『BARBACOA』のみ. テナントが入りすぎてしまい、上部にあったビル名を冠した看板はテナント看板に付け替えられる始末に. 『大阪水族館』なんて水族館あったっけ? と意外に思いながらよく見てみると飲食店でした.
奥のユニクロがポップカルチャーな感じに対してこちらは光り輝く宝石箱と、なんだか面白いほど真逆なファサードの対比が感じられます. 心斎橋に寄った際には「あ〜これか〜」と思いながら上から下まで眺めてみてはどうでしょう. それでは今回はここまで〜
【追記 2016.1.2】
昼の外観写真を追加しました. 夜に輝いていたファサードは、昼間はこのような表情のある建物に一変します. 長堀通りから見ると、一部の向かいの建物が鏡のように美しく投影されています. 太陽の反射によって所々で黒く、所々で白く光るトルネードビジョンも魅力的で、宝石箱のような輝きのある表情をみせてくれていました.




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