


さて写真1枚目は北陸最大の玄関口である金沢駅東口です. 私が以前金沢を訪問した際は、まだ北陸新幹線は工事中でした. 構内での「新幹線、東京行きは〜」というアナウンスに、正直未だに慣れない部分があります. 特急はくたかからの上越新幹線か、高速バスぐらいしかなかった金沢〜東京間移動は、新幹線開業で最速2時間28分(wikiより)で行き来可能に、まさに北陸の交通革命. 富山行きの第三セクター路線も、特急街道が解消されて利便性が向上したようです.
後に続く写真は金沢駅到着時すぐに撮影したものです. 何度見てもこのガラスドームはデカい. 観光客の方々も真上を見ながら写真をパシャパシャ撮る気持ちもわかります. 金沢駅東口を再整備する形で、約7年もの工事期間をかけて2005年に完成した金沢駅東広場. 設計はコンサル企業『トデック』と建築家・白江龍三
(しらえ りゅうぞう)氏の共同です. 白江氏は日本設計時代に手がけた「東京都多摩動物公園昆虫生態館」で1989年日本建築学会賞を受賞しています.




では先に「鼓門」から見ていきます. 閉館時間のある金沢の建築スポットを優先した結果、じっくりした撮影が夕暮れになってしまいました. 石川の伝統能楽である『加賀宝生』の鼓(つづみ)をイメージした巨大なねじれ柱2本の上に、格天井で仕上げられた巨大な屋根が乗る金沢のメインゲート. 後ろのドームも見事ですが、広場のシンボルとしてはこちらの門が冴えます.
伝統的意匠をモチーフとしたデザインに目を奪われがちですが、屋根がついたシンプルな門というわけではありません. 柱の中
(写真4枚目)をよく見ると、なにやら細いパイプが無数に通っているのがわかります. 実はドーム等に降った雨水を再利用できるように配管が通されており、現代の環境ニーズにも対応しているという、意外とハイテクな門になっています.






そしてこちらが「もてなしドーム」です. コンセプトは『訪れる人に差し出す傘』というもの. 個人的には駅工事の壁がなくなり、奥の見栄えがスッキリした感じです. 構造はアルミ合金製のトラス構造で、アルミ構造体しても世界最大級だそうです. 多くの人が見上げると必ず目にするであろう星型のワイヤーとリング
(写真3枚目)は構造を補強するもので、雪の多い金沢における積雪にも耐える構造に. まさに訪問者を守るガラスの傘です.
天井や壁にビッシリと貼られたガラスの数は、なんと3019枚. 一見正方形に見えるガラスですが、正方形として使用しているガラスは1枚もないとのこと. 考える側も凄いですが、これを寸分の狂いもなくピッタリと繋ぎあわせる技術も相当なものです. 視線を下に下ろせば、そこは人が待ち合わせる親水空間
(写真5枚目)や、北陸鉄道へつながる地下への吹き抜け
(写真6枚目)を見ることができます. ちなみに地下のイベントホールも非常に規模がデカいです.
定番中の定番であるスポットを紹介したわけですが、個人的に「惜しいな〜」と感じるポイントとして金沢駅との連続性を提示しておきます. 新しくできる新幹線ホームに対して連続できなかったかな〜と. ガラスで視界が良いとはいえ、壁という印象が拭えません. アメリカ誌において『世界で最も美しい駅14選』に日本で唯一ノミネートするなど、世界的にも評価が高い駅として認知されているご様子. 今後の金沢のシンボルとして末長く愛されることを期待します.
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