2017/10/08






こちらの銀行は「もてなしドーム・鼓門」のある、金沢駅東広場の手前から伸びる大通り(県道13号線)を真っ直ぐ進んだ先にある武蔵交差点の角地に建っています. バスで行くならば武蔵ヶ辻・近江町市場バス停が最寄りです.「かなざわはこまち」や「めいてつ・エムザ」などの商業施設が集積する地区ですが、その大きな建物より一回りほど小さいながらも薄い茶褐色タイルのクラシックな色合い(写真1枚目)が非常によく目立ちます.
当初は『加能合同銀行(北國銀行の前身の一つ)』の本店として1932年に竣工. 中央に3つの尖塔アーチ、両脇に波型のルーバー(写真4枚目)が付いた窓、上に5つの小窓が並ぶモダニズムな佇まいは、当時まだ古典様式が主流の中では異質の銀行建築だったことでしょう. 従来の剛健・堅牢な銀行の印象は薄く、ゴシックの教会のように大きく開かれたアーチが、多くの人に親しみを与えるランドマーク的な存在感を放ちます. 正直な話、これが戦前にできていたことにビックリです.
アーチに飾られた装飾の細かいブロンズ製グリル(飾り格子)は、戦時の資源供給令により供出され、現在のは後に復元されたものです. 茶褐色の外壁(写真6枚目 拡大)は、およそ3〜5種類程の濃さの手焼きタイルをレンガ状にモザイックに貼り、波状に表面をわずかに削ることで職人の手作業感が出ているように感じました.





こちらは主に北側から見た外観です. 銀行の奥に見える近江町市場の再開発ビル「近江町いちば館」(写真1・2枚目 奥)を見ると、歩道のラインから全体的に後退していることがわかります. 建物は当初南西へ約20mほどの位置にあり、国道157号の歩道にビッタリとくっついていました. しかし近江町市場再開発に伴い曳家(ひきや)にて現在の位置へ移動・耐震改修され、再開発のシンボルとして2009年にリニューアルされました. 保存してくれたことに感謝です.
国道159号線に面した北側に突塔アーチはないものの、上を見上げると円形の模様が無数に並ぶ天井のあるテラス(写真3・4枚目)を確認. 銀行の上階なんて行けないよな〜なんて思ってましたが、探訪後に調べると再開発時に3階を『金沢アートグミ』というギャラリーへ改装してるとのこと. しかも1階は一部がカフェになってたりと、銀行支店にてオープンな活用が図られたようです. 完全にこちらの把握ミスでした. 次回は内部に入る時間を確保して見学したいと思います.
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