2017/10/22





建物は兼六園の南ですが、折角なので金沢城公園にもつながる『桂坂口』の写真(写真1枚目)を乗せながら当園について軽くご説明を. 池泉回遊式の大名庭園である兼六園は、1676年に加賀藩4代目藩主・前田綱紀が別荘を建て、その周辺を庭園化した『蓮池庭(れんちてい)』として築庭されたのが始まり. 明治期より一般公開が行われ、今や金沢定番の庭園スポットです. 冬には木の枝に傘状に縄を張る『雪吊』が見られることでも知られています.
写真2枚目からは工芸館手前から公道を撮影したものを. 兼六園の外周をグルッと歩き、先程の桂坂口から徒歩で10分ほどかかりました. 金沢駅からは兼六園シャトルにて県立美術館・成巽閣バス停下車. 市営レンタサイクルは付近に駐輪ポートがないため、広坂・兼六園下から徒歩移動になります. 加賀友禅・九谷焼・金沢箔・輪島塗など、石川の伝統工芸36種を展示するミュージアムとして1986年に開館した工芸館. 建物は森林の緑に隠れるように建っています.





白と都鼠(赤みがかった灰色)の2色のカラーに、水平に張りだす庇や細い付柱(写真2・3枚目)など随所に和風意匠が目立つモダニズムな佇まい. 建物は『石川県美術館』の本館として1959年に竣工したもので「帝国劇場」等を手がけた昭和の建築家・谷口吉郎(たにぐち よしろう)氏が生誕地である金沢にて手がけた作品の一つです. 一見質素なタイル張りは、コンクリート打ち放しのモダニズム建築が台頭した50〜60年代の最中では、個人的にとても興味深い仕上げに感じられます.
建物の張り出し部分をピロティのようにくり貫いた玄関前(写真4枚目)は、床が石の乱張りとなっているのがユニーク. 県立美術館のHPには竣工時と思われる写真(リンク)があり、外観はほとんど変わっていないように見えます. 工芸館の北西には「石川県立能楽堂別館」(写真5枚目)があるのですが、こちらも工芸館と瓜二つのモダニズムな外観. ただこれが谷口氏の作品という確証は得られていません.





それでは館内へ. 1階フロアの入館は無料です. 乱張りの石床が館内にまで連続し、奥手に兼六園の緑が見える開放的な中庭(写真3枚目)を見ることができます. 更に奥へ進むと、2階フロアまで吹き抜けた開放的な空間(写真4・5枚目)へ. 外観はややお堅めなモダニズムの雰囲気でしたが、内部は開放的で洒落たデザインです. 折れ階段の下から続く工芸館西口(裏口)は兼六園への入口となっており、受付からチケットを買うことで兼六園へ直接入場することもできます.






2階フロアは有料ですが、受付よりこちらも掲載OKのお許しをいただきました(有料により写真はロゴ付き). 美術館時代より引き継いだと思われる展示ケースの中には、石川の伝統工芸品がズラリ. このフロアで一番グッときたのは各展示室を繋ぐ廊下(写真2枚目)です. ハイサイドのように光が落ちる開口(写真3枚目)、太鼓鋲が打たれた木の内壁(写真4枚目)、はつり仕上げのコンクリ柱(写真5枚目)など、美術館時代を偲ばせるような味わいある空間でした.
「しいのき迎賓館(旧石川県庁舎)」等のレトロ建築や「金沢21世紀美術館」等の現代建築が目立つ金沢の建築スポットの中では、見た目的にも些か見劣りしてしまうかもしれません. しかし昭和を代表する建築家が生まれ故郷にて手がけたモダニズム建築スポット、一度ご訪問してみる価値は十分あると思います. では.
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