2017/12/03






では、地下鉄森ノ宮駅から大阪城公園内を歩いていきます. 公園は上町台地の北端部に位置していて、環状線側から歩くと途中から急な上り坂になり、軽い山登りをする感じに. 本丸を中心に広大な緑が広がる大阪の代表的公園ですが、戦前この一帯は陸軍施設が集積していました. 特に本丸から東側は東洋最大規模の軍需工場と称された『大阪砲兵工廠(ほうへいこうしょう)』があったことでも有名. 現在その跡地は「大阪城ホール」や大阪ビジネスパークのビル群が建ち並びます.
本丸への入口となる「桜門」(写真3枚目)をくぐると、「大阪城天守」(写真4枚目)と目的のミライザ(写真5枚目)が見えてきます. 写真6枚目をみると、ミライザが天守のすぐ南東に建っていることがよくわかります. 公園のシンボルとなっている天守は、昭和復興天守として1931年に竣工した3代目. 昭和初期の鉄筋コンクリート造天守です. 再建を提唱したのは『大阪の父』と評された7代目大阪市長・関一氏で、現在は展望台を兼ねた博物館施設になっています.






こちらでは外観写真を載せながら軽く解説を. こちらの戦前建築は昭和天皇陛下の即位(御大典)を機に、大阪を編成地とする『陸軍第4師団』の司令部庁舎として復興天守と同時期に建てられました. 地上3階地下1階の4フロア構成で、同時期に竣工した都道府県庁舎に匹敵する大規模な司令部. 中央塔屋の両脇(写真2枚目)や建物四隅(写真6枚目)に設けられた塔のデザインが、西洋の古城を想起させます. 和風の大阪城の傍にこの洋のデザイン、なかなかにアグレッシブです.
外観は玄関に半円アーチ(写真3枚目)のロマネスクの意匠をもちながら、基壇の石、中層のスクラッチタイル、屋上部のモルタル(推測)による三層ファサード(写真5枚目)はルネッサンス様式に近い雰囲気もあります. 米軍の接収後は警察本部庁舎として、1960年からは大阪市立博物館として運用されてましたが2001年に移転. それから約16年にわたり未使用の状態が続き、解体の噂もされていましたが、今回ようやく商業施設として生まれ変わりました. よかった.






それでは入館. 受付に確認したら撮影・掲載もご自由にとのことでした、ありがとうございます. ご覧の通り内部も綺麗に修繕されてピカピカですが、リニューアル前から存在した中央階段や廊下のアーチのデザインなども引き継がれている模様. 館内の随所には昔の様子を捉えた写真パネル(写真3枚目)が設置され、現在の風景と比較できるようになっています. 陸軍施設を商業施設に転用するという大胆な発想、いかにも商人のまち・大阪らしくて良いと思いました.





こちらは各階の廊下を中心に撮影したもの. 空調設備などでアーチが塞がっている部分がわずかにありますが、空調のない方向のアーチを残している(写真3枚目 右奥)ので大きな違和感はありません. 2階以上はレストランフロアですが、廊下部分は自由に通り抜けOKとのこと. ここ以外にも季節限定で営業される屋上テラスや、今後オープン予定の地階もあるので、こちらも行け次第更新したいです.
私がこの建物を知ったのが2010年頃だったのですが、その時期から既に施設の廃墟チックな雰囲気や解体の噂が立っていたので、この活用は正直意外でした. 内部意匠の残り具合も良かったので、近代建築のリノベーション活用としてはなかなか良い例になるかと思います. 大阪城に近いので観光目的の外国人も多く、今後はそんなグローバル向けの商業拠点になるんじゃないかと思っています. それでは.
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