2017/12/06





こちらは昼の時刻に撮影した外観. 公共交通でアクセスする場合は北西の地下鉄恵美須町駅と、南のJR新今宮駅・地下鉄動物園前駅の2通りのルートが存在します. 写真前半の3枚は恵美須町側から撮影したもので、両脇にアーケードが続く通りの向こうに通天閣が綺麗に見えています. 一方で後半2枚は新今宮側から撮影したもので、一般的に『新世界』として知られる場所です. 『つぼらや』のふぐ提灯(写真5枚目)をはじめとした広告がひしめくザ・大阪の光景ですが、ルートが変わるだけで塔と街の印象がガラッと変わるのが面白いなと思います.
このタワーは1956年に竣工・開館した2代目の通天閣で、『塔博士』と称された構造学者・内藤多仲氏と竹中工務店が手がけました. 内藤氏が手がけた「東京タワー」や「名古屋テレビ塔」も含まれる『タワー六兄弟』の次男坊(2番目の完成)でもあり、避雷針を含めた竣工時の高さは103m. エッフェル塔のように緩やかにカーブする先述の2タワーとは異なり、八角形断面のスラッとした胴体がグンと伸びる幾何学的でメカニカルな造形を特徴的とします.





通天閣の真下までやってきました. 四隅でガッシリと支えられた力強い足(基壇)の間を市道が通っています. 塔の胴体が細く、低層階のボリュームが大きいので、ここから見上げると塔よりも低層階のガラスがグワッとせり寄る感じ(写真2枚目)になります. 通天閣は2014年より約8ヶ月をかけて免震化工事を実施しており、以前よりも天井が低くなった代わりに初代通天閣の天井画(写真4枚目)を復元しました. 四隅にはチラッとオイルダンパー(写真5枚目)が見えています.
この日はイケフェス2017のイベントで参加しており、通天閣の運営会社である『通天閣観光』の社長様が直々にガイドをしていただけました. 初代通天閣から再建、100周年事業のことに関して詳しくご説明していただけましたが、一番印象に残ったのは『高い展望台ではなく、面白い展望台』というフレーズ. 高さ300mの「あべのハルカス」に対抗する、ユニークな切り口に感じました.







一旦地階に下りて、低層階へ通じるエレベーターから展望台へと進みます. 時刻は夜で掲載承諾済. 写真2枚目はその地階の受付ですが、信号機やビリケンさんマークが入った標識があったりと、既にイロモノ要素が漂っています. エレベーターを上って5階展望台につくと、そこはビリケン像が鎮座する金一色のゴージャスな空間(写真3枚目). 4階はディスコボールが設置されたバブリーな空間(写真6・7枚目)になっていたりと、アミューズメント感満載の展望台になっていました.
通天閣において中心的な存在である『ビリケン像』(写真4・5枚目)は、20世紀初頭にアメリカの芸術家が制作したことで大ヒットした幸福の神様. 現在のビリケン像は通天閣100周年にあわせて新調された3代目で、クスノキ一木彫りの白いお姿をしています. 十数年ぶりに展望台へ上ったのですが、ビリケン像も展望台も様変わりしすぎてビックリでした.




最後は「天望パラダイス」と称された屋上展望台です. 観覧には別料金必要で、屋上設備の周囲に貼り巡らせた強化ガラスに沿って一周しながら鑑賞. 屋上のネオンサイン(写真2枚目)は翌日の天気予報となっており、晴なら白・雨なら青という風にカラーで伝える仕組み. 2016年に2代目通天閣開業60周年を迎えたことを受け、避雷針が3mから8mへ引き上げられ、現在の108mの高さとなりました. 社長様曰く『煩悩、悟りの数』として今の高さにしたそうです.
南東をみやれば現在高さ日本一のビルが建つ天王寺・あべの(写真3枚目)、北西には難波・梅田のビル群(写真4枚目)と、通天閣よりも高い高層ビルがどんどん建っています. 高さの勢いにはもう追いつくことは難しいものの、社長様が熱く語っていた『面白い展望台』を武器に、大阪のランドマークとして今後も挑戦し続けていくと思います. 個人的にも非常にワクワクしましたし、面白かった. 皆様も大阪に来たらぜひ一度、このタワー建築スポットに上ってみてください.
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