





大阪メトロ四つ橋線の肥後橋駅出口
(写真1枚目)からスタートして美術館へ向かいます. 鉄道からの最寄駅は先述の肥後橋駅と京阪中之島線の渡辺橋駅、もしくは中之島駅となります. しかしどの路線も梅田などからアクセスするには少し難があるので、個人的には御堂筋線淀屋橋駅からブラブラと中之島を歩くのが良いかなと思っています. 真っ黒い角張った外観は、駅すぐの土佐堀川
(写真2枚目)からよく見えます. 左手にあるのは
「リバーサイドビルディング」です.
写真3枚目からは美術館の南東外観の様子です.
「国立国際美術館」の北隣に建てられた大阪中之島美術館は、1983年に大阪市制100周年記念事業のひとつとして構想. 大阪市の財政難や市政改革の波を乗り越え、構想からおよそ40年の歳月を経て2022年2月2日に開館となりました. あの大きな空き地がこうなるとはと思いながらカメラを握っていましたが、途中で雪がチラチラとしてきて寒かったです.







こちらは堂島川に面する北側の外観で、美術館のメインの顔ともいえます. 周囲に高層ビルの多い中之島の中にありながらも、真っ黒で大きいキュービックの外観は、それらに負けない存在感を放っています. 所々にある大きなガラス開口がスタイリッシュ. 建物の周囲はオープンスペースとして誰でも入れるようになっており、北側の芝生広場の一角には現代美術作家のヤノベケンジ氏が手がけた『SHIP'S CAT (Muse)』
(写真3・4枚目)が展示されています. 既に東隣の歩行者デッキは
「ダイビル本館(旧ダイビル)」へと繋がっていました.
2016年にこの美術館の設計コンペである『(仮称)大阪新美術館 公募型設計競技』が行われ、2017年2月に建築家・遠藤克彦
(えんどう かつひこ)氏の案が選ばれました. 外観のカラーである黒色の壁面
(写真6枚目)はプレキャストコンクリートで、新建築2022年1月号には『骨材に岩手山玄昌岩砕石・京都宇治産砕砂、そして黒色塗料を混ぜた』
(p.114)と書かれています. 遠くから見てもわかるこのザラザラとした質感は、重みのあるシックな雰囲気を感じます.








それでは館内へ. 1階と2階は美術館のロビーに該当するフロアで、料金なしで自由に見学可能. 美術館中央は1階から天井までの吹き抜けが組み合わさって、トップライトから自然光が差し込む大きな空間
(写真2・3枚目)になっています. メタリックなシルバーのルーバー壁面に、自然光や照明が反射してできる色合いも好きです. 中之島の『N』が入っている家具
(写真8枚目)もいい. インテリアショップやレストランもあるのですが、訪問時点では開店準備中でした.
先ほどからロビーや吹き抜けという言葉を使っていましたが、厳密にはこれらの空間は『パッサージュ』と呼ばれています. これは先述の設計協議の実施要項で『展覧会入場者だけでなく幅広い世代の人が誰でも気軽に自由に訪れることのできる賑わいのあるオープンな屋内空間』
(p.8)と定義されており、この美術館の空間構成の骨子となっています.







展示会のチケットを購入し、エスカレーターで展示室のある上層階へ. 展示室が映らなければ、パッサージュの撮影はOKとスタッフより確認しています. 4階は1階から続いた吹き抜けの最上階にあたり、2階や吹き抜けの反対側の空間の人の動きが見えるようになっています
(写真2・4枚目). 5階は美術館の南北を直線的に繋ぐ細長いパッサージュ
(写真6・7枚目)になっていて、天井照明デザインが好きです.
中之島美術館の美術品は、大阪の実業家である山本發次郎
(やまもと はつじろう)氏の収集品が1983年に大阪市に寄贈されたことに端を発し、そのコレクションは6000点を超えているようです. 今回の展示会はそのコレクション展でしたが、私は海外建築家がデザインした家具ばかり眺めていました. 展示室の中に、美術館のマークがデザインされた大きな椅子がとてもユニークです.





展示物を一通り見終えて、展示フロアの西にある吹き抜けのパッサージュに来ました. ここにはヤノベケンジ氏の『ジャイアント・トらやん』
(写真2枚目)が展示されています. まだ口の中に火炎放射器があるのでしょうか. ちょうど夕方になると太陽光が直接入る時間帯になり、館内にガラス部分の鉄骨の影ができる美しい光景
(写真3・5枚目)に巡り会えました. 美術館西側は医療ビルを建設中で、これができた場合にこの光の差し込みが残るかはわかりません.
大阪の新しい美術の発信拠点として開館した大阪中之島美術館. 建築も美術品も素晴らしく大変満足した建築探訪でした. 大阪に来たら是非一度お立ち寄りください.
● 参考建築資料:『新建築』2022年1月号
※写真掲載(私的利用)について、大阪中之島美術館に確認済です.
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