タカハマカフェ - ARCHI'RECORDS(アーキレコーズ)- 建築紹介・建築探訪録        

タカハマカフェ

           
0289:タカハマカフェ メイン

0289 - タカハマカフェ
竣工:2022年
設計:隈研吾
住所:鳥取県鳥取市福部町湯山2164

皆様どうも. 今回は前回の「仁風閣」より引き続いて、鳥取初探訪で訪れた商業建築・タカハマカフェのご紹介です. タカハマカフェがあるのは、JR鳥取駅から北に5km離れた場所にある、全国クラスの認知度をもつ天然記念物『鳥取砂丘』の近くです. 鳥取に来たならここは見ておかないとという思いでしたが、近年こちらができたということで、砂丘と併せて訪問してきました.
0289:タカハマカフェ 鳥取砂丘①

0289:タカハマカフェ 鳥取砂丘②

0289:タカハマカフェ 鳥取砂丘③

0289:タカハマカフェ 鳥取砂丘④

0289:タカハマカフェ 鳥取砂丘⑤

本題のカフェに入る前に、折角なので鳥取砂丘の訪問録を少しだけ. 訪問日の数日前に来た寒波の影響で、鳥取砂丘は半分雪原と化していて、ソリをする方や雪だるまを作る方もいました. 写真1枚目に見える小高い丘が『馬の背』と呼ばれる標高47mの砂丘列ですが、砂に足を取られながら登るため登頂に20分はかかったと思います. 海から叩きつける強い潮風、ザザーンと大きな波が打ち寄せる広大な日本海. とても良いタイミングで来れたと思います.

鳥取砂丘は、この砂丘のすぐ西を流れる千代川(せんだいがわ)から運ばれてきた堆積物のうち、一番小さな細礫が波や海流によって押し戻されるというプロセスを何万年もかけて形成されたものです. 戦時中は日本軍の演習地にも使用されました. 戦後は民藝運動の中心的人物である吉田璋也(よしだ しょうや)氏が中心となって砂丘の保全運動が起こり、1955年には30haの砂丘が国の天然記念物に指定されました. 指定域は1978年には146.2haにまで拡大します.
0289:タカハマカフェ 全体外観①

0289:タカハマカフェ 全体外観②

0289:タカハマカフェ 全体外観③

0289:タカハマカフェ 全体外観④

0289:タカハマカフェ 全体外観⑤

公共交通で鳥取市街から鳥取砂丘へ行くには、土日祝などに運行する『ループ麒麟獅子バス』もしくは日本交通バス等が運行する『鳥取砂丘線』の2路線がありますが、観光地路線の割には運行頻度は少なめです. 最寄りのバス停は『砂丘会館(鳥取砂丘)』というバス停ですが、このバス停のすぐ傍にタカハマカフェ(写真1枚目)があります. 多くのバスはこのカフェの周りを1周して折り返す形なので、降りたら目の前がタカハマカフェということで、驚きました.

外観の大きな特徴は、地面から屋上のテラス床まで斜めに大きく突き出した木の壁(写真3枚目)ではないでしょうか. まるで古代船の堅板のようで、砂丘を突き進んでいく方舟のような印象を与えます. しかし側面(写真2枚目)から見ると、どこか鳥っぽいイメージに. 背面(写真5枚目)に至っては、空目掛けて飛んでいけるジャンプ台のような外観です. 見る方向で印象が全く異なっているのが面白いです.

タカハマカフェは、飲食や土産物店を運営する鳥取砂丘会館が60周年の記念事業として企画. 「新国立競技場」や「根津美術館」など国内で数多くの建築を手掛ける隈研吾氏設計のもと、2022年に完成・オープンしました. 隈氏設計の建築、いわゆる隈建築は多くありますが、鳥取県に隈建築ができるのは、私の知る限りこちらが初めて. 名称の『タカハマ』は、高低差のある砂浜を指す『高浜』や、砂丘会館の字『高濱』という複数の由来で名付けられています.
0289:タカハマカフェ 外観細部①

0289:タカハマカフェ 外観細部②

0289:タカハマカフェ 外観細部③

0289:タカハマカフェ 外観細部④

こちらはもう少し寄った外観写真をいくつか. 外壁は鳥取県産のスギ材です. 当初見た時は木造かと思いましたが、実際はRC造とCLT造のハイブリットということです. 『CLT(Cross Laminated Timber)』とは、木材の繊維方向を縦横に交互に貼り合わせた材料で、日本農林規格では『直行集成板』という名称があります. 木材の貼り合わせの様子は、特に屋根の破風(写真1枚目)で見られます. 北側には屋上へ向かう鉄骨の階段(写真2・3枚目)があります.
0289:タカハマカフェ 1階②

0289:タカハマカフェ 1階①

0289:タカハマカフェ 1階③

0289:タカハマカフェ 1階④

0289:タカハマカフェ 1階⑤

それでは建物内に入っていきます. 私が入った時は、お客さんはまばらな印象. 1階は砂丘道路に面した正面はガラス張りで非常に明るいですが、奥のカウンターはオレンジ色の照明に照らされた落ち着いた空間です. カーブを描いたカウンターのデザインがイイなと思います. カウンター向かいのベンチ(写真3枚目)は収納可能なデザインで、そのベンチの間の壁面からはテーブルも出てきます.
0289:タカハマカフェ 2階①

0289:タカハマカフェ 2階②

0289:タカハマカフェ 2階③

0289:タカハマカフェ 2階④

0289:タカハマカフェ 2階⑤

続いて2階です. 奥のスペースに開口が設けられていて、個人的にはこのスペース(写真2枚目)の雰囲気が気に入っています. 1階にもあったこの照明(写真3枚目)ですが、これは和紙のシェードに鳥取砂丘の砂を散りばめて作られています. ここにはエレベーター(写真5枚目の中央)も設置されているのですが、ボタンから扉までの奥行きが大きく、その間もスギ材で仕上げているので、一瞬これがエレベーターなのかどうか戸惑ってしまいました.
0289:タカハマカフェ 張り紙

0289:タカハマカフェ テラス①

0289:タカハマカフェ テラス②

0289:タカハマカフェ テラス③

0289:タカハマカフェ コーヒー

それでは外観でも見た屋上テラスへと思いましたが、前日の雪の影響で、テラスと階段は締切(写真1枚目)になっていました. テラスはエレベーター前からガラス越しに見えるので、そこから撮りました. 屋根部分の木のルーバー(写真3枚目)は、隈建築でよく拝見されるデザイン. 砂丘が見えるテラスとの事前情報でしたが、実際は砂丘入口の丘で遮断されて、馬の背のある鳥取砂丘の眺望は見れません(写真4枚目). ちょっとここは惜しいなと思いました.

『タカハマオリジナルブレンド』(写真5枚目)で一服して、鳥取砂丘を後にしました. バス停が目の前なので、ここでバスを待ちながらゆっくりできます. 鳥取砂丘の新たな観光拠点としても個人的にはオススメだと思います. 昨年末の鳥取訪問は前回の「仁風閣」と合わせてこの2つだけでしたが、機会があれば倉吉や米子も含めてもっと探訪したいところです. それでは.

●参考サイト
『隈研吾氏設計 タカハマカフェ(鳥取市)』収納ラボ(リンク


※写真掲載(私的利用)について、店舗スタッフに確認済です.

関連記事
このエントリーをはてなブックマークに追加

コメント

非公開コメント

プロフィール

的野 峻一(MATŌ)

Author:的野 峻一(MATŌ)
『ARCHI'RECORDS(アーキレコーズ)』は関西の建築好きが日本全国にある建築スポットを実際に探訪し、感想を交えながら紹介しています. 詳しい活動内容はエントランスページよりご確認ください.

風景写真・デザイン活動のページ

インフォメーション

【2024.1.29】 「鉄道でまわる 都道府県別建築スポットマップ」の「23.徳島県【四国】」を公開しました.

写真使用依頼等はページ上部のメールフォームにて受け付けております.(※返信は遅めです. 当日中の返信はあまりできません. 申し訳ありません.)

紹介する建築スポットの情報は、原則的に投稿日時点の情報になります. 現在と比較して古い情報や記事内の誤字・脱字等がありました場合は、該当記事内の各コメント欄またはメールフォームでご意見いただけますと幸いです.

活動実績(写真提供・寄稿等)

◆『近代建築2017年5月号』にて写真提供をさせていただきました. 『近代建築』バックナンバー

◆『トラベル.jp たびねす(現:トラベルjp 旅行ガイド)』のライターとして、以下の建築スポットガイド記事を寄稿しました.【2016〜2018年在籍】

・大阪狭山野池美術館リンク
・松柏美術館リンク
・みんなの森 ぎふメディアコスモスリンク
・秋野不矩美術館リンク
・植村直己冒険館リンク
・南方熊楠記念館リンク
・中谷宇吉郎雪の科学館リンク
・生きた建築ミュージアム【2017】リンク

最新記事

日本全国 JR特急路線図
鉄道でまわる 都道府県別建築スポットマップ
タカハマカフェ
仁風閣
桜井寺

スポンサーリンク

Twitter

スポンサーリンク