

南海難波駅から降りて北西方面に足を進めると、茶色い壁面と至る所に木々の生えたジャングルのような施設のパークス本館が見えてきます. 写真は2階からのアクセスですが、1階には馬券販売場の『ウインズ難波』があり、レース当日は商業施設内とは思えないようなある意味面白く、ある意味異質な場所となります. パークスの西側にはオフィスの入居す高さ150mの『パークスタワー』があます. 周りに同等のタワーがないため少々シンボリックに見えます.
設計をしたのはスーパーゼネコンの一角大林組と日本を代表する組織設計である日建設計、そしてアメリカ出身の建築家 ジョン・ジャーディ氏です. ジャーディ氏はアメリカサンディエゴの「ホートン・プラザ」の設計で注目を浴び、「六本木ヒルズ」や「キャナルシティ博多」など、日本人建築家にはない大胆な造形性と鮮やかな色彩のある商業・ビル建築を手掛けてきました. 残念ながら2015年2月に逝去、最近までご存命だった建築家です.




このなんばパークスの一番のメインは、2階にある本館中央部を南北に縦断する『キャニオンストリート』でしょう. 名前の通り、このデザインのモチーフはアリゾナ州にあるグランドキャニオンです. グネグネと曲がりくねったストリートには奥へ進む毎に異なる表情をみせ、ある場所には渡り廊下が、ある場所にはガラス張りの巨大なプラザがあったりと、ただただ歩いてみるだけでも面白いです. 水平に色の異なるタイルは、峡谷の地層のように見えます.
2階のマップを見るとこのストリートがいかにグネグネしているかが解ります. よくみると北側は『キャニオンストリート/コート』となっていますが、南側は『グレイシアコート』と標記が別々です. 実は本館は2期に分割して建設され、2003年までに出来上がったのは『キャニオンコート』まで、その後の2期工事で南側のエリアが完成し、2007年に全館オープンとなりました. 資料をみると柱はRC造、梁は鉄構造と書いているだけなので、肝心の壁はRCでしょうね.



パークスもう一つの特徴がこの『屋上公園』です. パークス本館は11階建てですが、南側から北側にかけて段々状に降りていく構成となっています. あるエリアにはアート作品が展示されていたり、イルミネーションのあるエリアがあったり、館内のレストランのオープンヤードになっていたりと、非常に面白い都市型公園となっていました. しかし直接的な移動が階段メインなので、年寄りにはキツそうだなと思ったりも…
ここでガーデニング等の緑を扱う職に携わる人であれば「なぜ段々の向きを、日照のよい南側に向けなかったのか」という疑問を考える人もいるのではないでしょうか. 私も初めて見たときはそのような素朴な問いを考えまして、管理をしている人に聞いてみたところ「南に向けると木々が早く育ちすぎて管理が大変になる」ということで、段々の向きはそういう木々の成長抑制と効率的な管理の役割もあるようです.


少し降りていくと、このようなイルミネーションのある広場に辿り着きます. ふと横に目をやると赤パイロンで仕切られた階段があるのがわかりますでしょうか. 実はこの階段の先にはプライベートガーデンのある『アーバンファーム』という農場に続いています. 開館当時は自由に見学可能だったのですが、色々あって現在はこの状態です. やはり自由立ち入りというのはトラブルになってしまうものなのでしょうか. 「大阪駅」や「あべのハルカス」にも同様の農園がありますが、こうはなってほしくないものです…
さてさていかがだったでしょうか. グネグネと続くメインストリートに屋上公園、しかも立地は難波駅から徒歩すぐという利便性です. 関空まで行けるためなのか、キャスター持ちの外人が希にいます. 大阪から各地へ飛行機
(関空なのでLCCかな)でお帰りの際は一度ふらっとよってみてはいかがでしょうか. それでは今回はここまで〜
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