2015/12/23




最寄はJR千葉駅から外房線各駅停車で20分程度で到着する土気(とけ)駅. 美術館へは路線バスで向かいます. 徒歩で行くこともできますが、キツい上り坂が20分ほど続きますのでお勧めしません. バス停周辺は戸建て住宅や空き地の目立つニュータウンの光景が広がっています. 「なんでこんな場所に?」とも思いながら足を進めると、美術館のロゴが書かれたアプローチに辿り着きます. 向かいには敷地内の地図が描かれた鉄板がありましたが、雨風をモロに受けて錆びついていました.
設計は日本トップクラスの組織設計事務所 日建設計(にっけんせっけい)で、その中でも重要な設計者が山梨知彦(やまなし ともひこ)氏です. 1986年の入社から約30年間設計活動に従事し「木材会館」や「ソニーシティー大崎」など数々の建築作品を手掛け、現在は執行役員・設計部門代表として同社を代表する建築家です.



駐車場から北へと続くアプローチを進んでいきます. コンクリートで造成された長〜い直方体のギャラリーが向こうまで続いています. 手前にある細い鉄骨の柵のようなものは、美術館の東側にある『昭和の森公園』の杉並木が樹立する様とリンクして一本一本の角度が微妙に異なって突き刺さっていました.
鉄骨の柵を横目にして北に進むと、美術館の入口が見えてきました. コンクリートの直方体の一部にボコっと穴を開けたようにでき、その間にガラスをはめ込んだ入口はなんともモダニズム、もとい装飾を排した現代チックな雰囲気のあるウァサードに仕上がっています.




館内に入る前に更に北側へ進んでみると、一つのギャラリーがドーンと突き出したインパクト大の外観が目に飛び込んできます. 一際目立つグレートーンの部分は『ギャラリーⅠ(第一展示室)』で、支持点から30mほど無柱状態となって突き出しています. 実際に見ると迫力が断然違いますし、「重力でたわんでこないか?」という緊張感がビシビシと伝わってくるかのようです.
天候が生憎の曇り空ということで、影の落ち具合とかを見たかったという惜しみ言葉はおいておき、それでも気になったのはこの隣がニュータウンというシュールさでしょうか… 普通の一軒家がすぐ隣に佇んでいるというのは不思議な感じがします. ギャラリーの真下には機械室へ続く道に車が何台も停まっていますが、急な傾斜に斜め方向に停車させる職員のドラテクに感心させられました.




館内は撮影禁止なため、エントランス部分のみの掲載です. 入口を通ってすぐの壁面にある不思議な穴は傘入れらしく、雨のときは球体状の取っ手のついた鍵を回すことでロックされるという非常にユニークな仕掛けです. そして天井には無数の円状の穴が空いていますが、この1つ1つにLED照明や防犯カメラ・スプリンクラー設備が埋め込まれているという面白い天井になっていました.
撮影はできませんが内部についても述べると、ホキ美術館は日本初の『写実絵画』を中心とした美術館ということで、一見すると写真と錯覚してしまうような精巧さ・繊細さのある作品を展示していました. 先程の『ギャラリーⅠ』の中を廊下のように通って地下1階、地下2階へと降りる3層構造となっています.
私個人としては、中庭のトップライトから光の差し込むスペースと、階段部分の手摺・カーブする天井、美術館各所に配置されたデザイナーズチェア(ミース・リートフェルトなど)が建築好きな私としては興味をそそる部分でした. 受付には日建設計と大林組(施工担当)が作成した建築ガイドが配布されていますので、それを見て散策してみるのも面白いです. 東京から約1時間程度で行ける写実絵画とユニーク建築の合わさったこの美術館にぜひ一度. それでは今回はここまで〜
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