2015/12/26




赤レンガ倉庫へは、みなとみらい線馬車道駅・日本大通り駅の両駅から歩いて約5分で到着します. 東京からですと、渋谷から東急東横線特急でわずか30分で到着できるので便利ですね. 訪問したのがクリスマス間近の土日のためか人が多い!! 赤レンガパークっていつもこんな感じなんでしょうか、あまりの人の多さにカメラを構える隙もありません.
そんな中で撮影した建物を載せながら説明しますと、この建物は新港ふ頭から荷下ろしされた、税関の輸入許可を待つ『保税貨物』を収蔵する上屋として建設されました. 当時の設計者は大蔵省の臨時建築部長だった妻木頼黄(つまき よりなか)です. 明治大正期の建築界を支え、横浜では他に「神奈川県立歴史博物館(旧 横浜正金銀行本店)」も手掛けています.
レンガの補強材として鉄を利用し、日本初となる業務用エレベーターや防火戸など当時の最新技術を導入したこの倉庫は、後の保税倉庫建築の模範となり、『組積造建築の最高傑作』ともいわれています. 関東大震災の揺れにも大半が耐え、終戦後は米軍の港湾司令部として使用されていたこともあります. しかし1989年に用途廃止に追い込まれ、長い間落書きの残る放置状態となっていましたが、2002年に新しい文化・商業施設としてオープンしました.




それでは生まれ変わった倉庫の内部に突入しましょう. 南側の1号館は主にホール・イベントスペース、2号館は商業テナントを中心としたスペースにコンバージョンされていました. 所々は鉄骨をそのまま残し、暗い雰囲気をなくすためか一部天井はプラスターで白塗りされています. 一見すると本当に倉庫を改修したものか疑いたくなりますが、所々の壁面をレンガ積みとして残しており、倉庫としての雰囲気も上手く残しています.
竣工からおよそ100年が経つこの倉庫の改修設計を任されたのは、東京都市大学教授でもある建築家 新居千秋(あらい ちあき)氏です. 「黒部市国際文化センター(コラーレ)」や「大船渡市民文化会館・市立図書館(リアスホール)」で建築界の名立たる賞を受賞された著名な建築家です. アメリカ人建築家 ルイス・カーンの設計事務所に勤めていたこともあります.
所々で新しい場所に階段やエレベーターを備えて、現代的な設備を導入していますが、改修当時は壁の一部が曲がっている・構造的に弱い部分がある・詳細な図面がない等、表面化する様々な問題を現場の実測や構造解析によって解消していったということです. 地震の多い日本では組積造(レンガ造)は相性が悪いといわれていますが、その構造をあえて残しながら現代の耐久性を獲得する建築家・技術者の『保全への情熱』には頭が下がる思いです.





特に1号館にはこの倉庫に関する歴史等を展示したスペースがあり、床下には受賞した賞状を飾るスペースが埋め込まれていました. 学会賞やグッドデザイン賞、建物保存に関するBELCA賞なども受賞されていたんですね. そして1号館の道路側の階段は、当時の階段の上にガラス張りの階段を取り付けて観覧できるような仕掛けになってました. 当時はこの中央から荷物をずり下ろしたといわれており、貴重な遺構が見えるスポットとなっていました.
というわけで、今回は横浜のロマンチックなスポットの紹介でしたがいかがだったでしょうか. 当時の横浜開港時の雰囲気を味わえるロマンス溢れるスポットに行きたければ、ぜひこちらの『赤レンガパーク』に行くことをおすすめします. それでは今回はここまで〜
- 関連記事
-
- みなとみらい線 馬車道駅舎
- みなとみらい線 新高島駅舎
- みなとみらい線 元町・中華街駅舎
- 横浜赤レンガ倉庫
- 横須賀美術館
コメント