みなとみらい線 新高島駅舎 - ARCHI'RECORDS(アーキレコーズ)- 建築紹介・建築探訪録        

みなとみらい線 新高島駅舎

           
0037:新高島駅舎 メイン

0037 - みなとみらい線 新高島駅舎
竣工:2004年
設計:山下昌彦 / UG都市建築
住所:神奈川県横浜市西区みなとみらい5-1

皆様どうも. 今回もみなとみらい線シリーズの続きでございます. 2駅目は横浜駅のお隣にある新高島駅舎です. 観光エリアから少し離れ、オフィス拠点と再開発の真っ只中にある旧高島町地区. その中心に位置するこの駅は、そんなウォーターフロントにそびえるオフィス街の雰囲気を反映したモダンデザインのある駅舎になっています. それではいってみましょう.

新高島駅へ向かう際に注意してほしいのは、この駅は『みなとみらい線で唯一各駅停車だけが停車する駅』です. なので知らずに急行や特急に乗車すると、あっさりと通過してしまうのでご注意を. 今回私は駅から降りての撮影だったので、地下(ホーム)から地上という順でご紹介しましょう.
0037:新高島駅舎 プラットホーム

0037:新高島駅舎 ベンチ

0037:新高島駅舎 公衆電話棚のデザイン

0037:新高島駅舎 エスカレーター上のモニュメント

列車から降りてあたりを見回すと、中央部は軽く2フロアはある階高の高いホームが目に飛び込んできました. 駅の雰囲気はスチール(金属)を多用した近未来観溢れるホームで、8角形断面の列柱が非常にメタリックなものに仕上がっています. ホームだけではなく、公衆電話の棚やベンチ、エスカレーターの落下防止を兼ねたモニュメントにもかっこよさのあるインテリアデザインが施されていました.

駅舎のデザインを手掛けたのは都市計画・建築計画を手掛けるコンサル企業『UG都市建築』代表の建築家 山下昌彦(やました まさひこ)氏です. 主に関東一帯の集合住宅の設計やアーバンデザインを専門とし、建築というよりは都市・まちづくりを専門とした都市計画家として活躍されています. 山下氏がこの駅舎でテーマとしたのが『海』、再開発の最中で町並みが形成されていない場所に、未来の町並みを先取りするシャープでスピード感溢れるデザインとして海を表現しています.
0037:新高島駅舎 エスカレーター

0037:新高島駅舎 B2改札階コンコース

0037:新高島駅舎 設置されたアート作品

0037:新高島駅舎 曇りガラス張りのトイレ

0037:新高島駅舎 男子トイレ内部

それではエスカレーターを昇って改札階へと向かいましょう. 先程のホーム階は地下5階、改札階は地下2階なので実に3フロア分のなが〜いエスカレーターが続きます. みなとみらい線が全体的に一般的な地下鉄よりも深い場所を走るということがよくわかります. そうして到着した改札階は先程のホーム階とは雰囲気が違って曇りガラスが多用されたコンコースになっていました. 波形の天井が奥へ奥へと続く様には、力強い疾走感を感じさせます.

山下氏は乗降者がどのフロアにいるのか解りやすくするために、ホーム・改札・連絡通路のフロアごとに異なるテーマをもった空間を設計しています. 先程のホーム階(B5階)はスチールを多用して『力のある水の流れ』を表現し、改札階(B2階)ではカーブするガラス壁を用いて『横にうねるウェーブ(波)』を表現しています. このウェーブの壁にはトイレにも適応されているためか、鏡台が微妙に透けて中の様子が浮き出ていました.
0037:新高島駅舎 B1階連絡通路①

0037:新高島駅舎 B1階連絡通路②

そして更に改札階から昇って地下1階の連絡通路にやってきました. 丸みのある壁面にストライプ調の模様が施された壁天井がスーッとと奥まで伸びる様は波のようにもみえます. そして何より目を引くのは、円形に凹ませ鮮やかな黄色で仕上げた天井です. 山下氏はこの連絡通路階を『水中から見た水面』をイメージして設計したと述べており. この円形はさながら水盤にポトリと水滴が落ちた時にできる波紋と解釈できます. 非常にカッコいいデザインです.

そしてもう一つ、新高島駅の見所は地上出入口(上屋)です. 角状の鉄骨を格子状に組み立て、それをガラスで組み込むことで、近代デザイン溢れる上屋に仕上がっています. そしてこの上屋は夜間には青色LEDで彩られるということで地上に上がってみたものの…私が出たのは別の出口. しかも電車の時間に間に合わずで見ることはできませんでした. どのような上屋なのかは下の参照サイトご参照あれ. 見ただけでもめちゃめちゃカッコいいです.

今回の紹介はここまでとなりますが、いかがだったでしょうか. 駅付近には「日産グローバル本社(設計:竹中工務店+谷口吉生)」や「富士ゼロックスR&Dスクエア(設計:清水建設)」など個性的なオフィスビル建築が建ち並んでいるので駅から降りた後はぶらぶらと歩きながら横浜駅まで歩いてみるのもいいかもしれません. というわけで今回はここまで〜


関連記事
このエントリーをはてなブックマークに追加

コメント

非公開コメント

プロフィール

的野 峻一(MATŌ)

Author:的野 峻一(MATŌ)
『ARCHI'RECORDS(アーキレコーズ)』は関西の建築好きが日本全国にある建築スポットを実際に探訪し、感想を交えながら紹介しています. 詳しい活動内容はエントランスページよりご確認ください.

風景写真・デザイン活動のページ

インフォメーション

【2023.1.22】 「鉄道でまわる 都道府県別建築スポットマップ」の「21.山梨県【中部】」を公開しました.

写真使用依頼等はページ上部のメールフォームにて受け付けております.(※返信は遅めです. 当日中の返信はあまりできません. 申し訳ありません.)

紹介する建築スポットの情報は、原則的に投稿日時点の情報になります. 現在と比較して古い情報や記事内の誤字・脱字等がありました場合は、該当記事内の各コメント欄またはメールフォームでご意見いただけますと幸いです.

活動実績(写真提供・寄稿等)

◆『近代建築2017年5月号』にて写真提供をさせていただきました. 『近代建築』バックナンバー

◆『トラベル.jp たびねす(現:トラベルjp 旅行ガイド)』のライターとして、以下の建築スポットガイド記事を寄稿しました.【2016〜2018年在籍】

・大阪狭山野池美術館リンク
・松柏美術館リンク
・みんなの森 ぎふメディアコスモスリンク
・秋野不矩美術館リンク
・植村直己冒険館リンク
・南方熊楠記念館リンク
・中谷宇吉郎雪の科学館リンク
・生きた建築ミュージアム【2017】リンク

最新記事

日本全国 JR特急路線図
松江建築マップ
鉄道でまわる 都道府県別建築スポットマップ
弘前建築マップ
芦屋市民センター
大阪中之島美術館

スポンサーリンク

Twitter

Facebook

スポンサーリンク