



一見すると普通の地下鉄駅のホームにみえます.
「元町・中華街駅舎」のような巨大空間はありませんが、このホームの特徴は『壁』にあります. 赤茶色に彩られたホームの壁面の仕上げはレンガ、近代建築が多く残る横浜らしさがあっていいですね〜 しかし、驚くべき点はコンクリート壁に上から貼っているのではなく、これが『実際に積まれてできている』ということです! 当時はレンガを積み上げた地下鉄駅舎は前例がなかったといわれています.
このレンガ壁の雰囲気に合わせるため、柱や案内板の枠は全て赤茶色になっています. 写真に撮り忘れましたが、ホームには『未来と過去の対比』をイメージした、内藤氏デザインの透明アクリルベンチが設置されています. 個人的に面白かったのは駅名標でして、馬車道駅のフォントだけが明朝体になっています. しかもこれ隣の駅でも同じような仕様になっていて、この駅のキャラクターがでているなと思いました.




それでは改札へとあがりましょう. この駅の改札は一つだけなのですが、その改札を出て上を見上げると…なんということでしょう!
(某○フォー○フター風に) そこには馬車道という駅の改札口にふさわしいシンボリックなドーム空間が広がっていました. 直径48m、高さ12mと普通にスポーツができそうな超巨大なドームです.
改札周辺を取り囲む壁面にもレンガが積まれていますが、こちらは先程のホームのレンガよりも古く凹凸があります. 列車が通るため整形したレンガを積まざるをえなくなったという事情も考えられますが、私としてはこちらのレンガの方がいい感じに仕上がってると思います. なぜ地下鉄の駅にレンガを積んだのか、その理由はこの一帯を埋立てで造成したが故に発生した『高すぎる地下水位』にあります.
そもそもみなとみらい線は、ルートの殆どが地下水位の高いエリアで占められており『水の中を走る鉄道』とも称されてます. この馬車道の駅舎も例外ではなく、内藤氏が気にしたのはコンクリートからの漏水でした. コンクリートをそのまま仕上げとして用いる案もあったといいますが、漏水対策の仕上げ壁が不可欠と考えた末、馬車道の近代建築の雰囲気を反映させたレンガを仕上げ壁として採用したというエピソードがあります.



改札から東に向かって歩いた先にあったのは上のフロアに向かうエスカレーターと、レンガ壁一帯に展示された謎のモニュメントがあります. 窓枠、手摺、ロッカーなど色々ありますが、中でも目を引くのは一番下の『金庫扉』です. そう、これらは全て駅舎の真上にかつて存在した『旧横浜銀行本店』に実際にあった備品類です.
内藤氏は近代建築が保存活用される一方で、解体される建築も多い横浜の現状を捉え、解体された近代建築にかつて使われていた遺構
(パーツ・断片)を保存し、そういうものが堆積していくしていくような場所としてこのギャラリーを設置したといわれています. 実際に横浜市にお願いをし譲り受けたらしく、近代建築に対する情熱の賜物だと思います.



こちらは先程とは反対側の西側コンコースです. こちらに展示されているのは、実際に横浜銀行内に飾られていた、長さ45mにもなる大壁画『横浜開港史』です. こちらの壁画を手掛けたのは明治〜昭和期に活躍し、東京岩崎邸の内装も手掛けた建築家 中村順平
(なかむら じゅんぺい)氏でした. 当時の建築家が手掛けた至玉の一作は取り壊されることなく、歴史を伝える移行として今もなお展示され続けていました.
というわけでいかがだったでしょうか. 全部説明してない中で申し訳ないですが、みなとみらい線の中で一番のお気に入りと問われれば、私はダントツでこの駅舎を推します. ここまで「あぁ…横浜っぽいなぁ」と言わせるデザインってなかなかないと思います. 今度はちゃんとアクリルの椅子撮ってきたいですね(汗)それでは今回はここまで〜
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