


前回の北川原建築を比較すると、倍以上の高さと面積があります. 建物下部分は所々にデコボコのあるコンクリート構造で、その上に鉄骨で組み上がった白と緑の巨大な『膜』が覆い被さっています. そして海側には黄色い球体が確認できます. 皮膜の部分だけを見ると、ザハ・ハティッドやフランク・ゲーリーのような『脱構築主義』の建築に見えますが、上屋となる下部分は普通の構造のようなので、モニュメントのような位置づけになるでしょう.
設計を手掛けたのは三菱地所設計と、アメリカ人建築家のマイケル・ロトンディ氏が率いる『ロト・アーキテクツ』です. 同氏の作品はこれだけなので、詳しいことはわかりませんが、アメリカ建築家の紹介ビデオではスティーヴン・ホール氏と同列に紹介されてるので、向こうではそれなりの知名度がある建築家だと思われます. この上屋も『ナガサキ・アーバン・ルネッサンス2001構想』をもとに建設されました.




東の県道側へ回ると上屋の屋上への階段があったので、それを昇っていきます. ちなみにエレベーターはないので、バリアフリーには全く対応していないようです. 視線の先まで延々と続く階段を昇っていくと、屋上となる広いスペースに到着します. しかしながら、一般解放されてるわりには人が誰もいない!これでも休日の昼頃なんですが、設置されたベンチや錆び付いた鉄骨が、哀愁に似た何とも言えない気持ちにさせてくれます.
奥に進むと、外観写真にもあった黄色い球体が目の前に現れました. 近くには階段もあるので「中に入れるのか?」と思っていってみましたが、入口はどこにもなく内部は空洞のようです…一体このモニュメントはなんなのでしょう? ロトンディ氏は、長崎市の伝統祭事である
『長崎くんち』の蛇踊りをモチーフとしていると述べています. つまり白と緑の『膜』は龍の本体で、黄色い球体は「玉追い」に用いる玉という解釈で設計したと思われます. それで『ドラゴンプロムナード』という名前が付けられているというわけです.


内部は非常に殺風景ですが、天気の良い日に展望デッキに行くと
「長崎港ターミナルビル」をメインとした長崎港を一望できる展望スポットとなっています
(リンク先メイン写真参照). 屋上広場からは『ゆめタウン夢彩都』の3階へ続く連絡通路があり、そのままショッピング施設へ直接行くことができます. しかしあまりにも殺風景すぎて、レクリエーションとして機能しているのか心配です. 色々問題もある建築ですが、長崎港の港湾風景を成すユニーク建築として見るのがイイと思います.
というわけで、今回はここまでとなります. 長崎港エリアの建築を3件連続で紹介しましたが、港湾エリアに建築作品が集積している都市もなかなか珍しいと思います
(思いつくだけでも横浜・神戸・東京台場). 皆様も長崎港に来た時はフラリと立ち寄ってみてはいかがでしょうか. ではでは今回はここまで〜
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