NBF大崎ビル(旧ソニーシティ大崎) - ARCHI'RECORDS(アーキレコーズ)- 建築紹介・建築探訪録        

NBF大崎ビル(旧ソニーシティ大崎)

           
0048:ソニーシティー大崎 メイン

0048 - NBF大崎ビル(旧ソニーシティ大崎)
竣工:2011年
設計:日建設計
住所:東京都品川区大崎2-10-1
賞歴:2014年日本建築学会賞
   2014年BCS賞

皆様どうも. 今回は久々に東京から、環境配慮に特化した次世代な建築をご紹介します. 場所はJR山手線の南端にある大崎駅. その駅のすぐ脇にある NBF大崎ビルが今回の主役です. 2012年まではソニーシティ大崎という名前で親しまれ、2014年には学会賞を受賞するほど高く評価されたオフィスビルです. オフィスビルと思って侮る事なかれ、この建築の面白さを確かめに、実際に行ってまいりました.

先程も述べたように、このビルは大手電機メーカー『ソニー』の開発拠点として2011年に建設されました. しかしテレビ事業を中心とした不振が続き、2013年には資産売却の対象として『日本ビルファンドマネジメント(NBF)』に売却され現在の名前となりました. しかしソニーは完全撤退したわけでなく、グループ企業がオフィスを賃借する形で入居しているため、今なおもソニーの重要拠点として引き続き利用されています.
0048:ソニーシティー大崎 JR線の反対側から

0048:ソニーシティー大崎 ペデストリアンデッキ

0048:ソニーシティー大崎 バイオスキンの説明

0048:ソニーシティー大崎 アルミ製のバイオスキン

0048:ソニーシティー大崎 バイオスキンを拡大する

冬の日の出頃ということもあって、駅周辺は非常に静まり返っていました. 地上25階建て、長手方向の幅は130mと非常に大きいボリュームがJR線に沿って建てられています. 設計を手掛けたのは日本最高峰の組織設計事務所である日建設計で、「ホキ美術館」でも紹介した山梨知彦氏が中心となって設計されています.

駅南口から見えるのは北東側のファサードです. 何層にも重なって見える横方向のルーバーは、テラコッタとアルミを交互に連続させて構成されており、このビルの「顔」となっています. 一見するとこのルーバーは意匠的なものに見えがちですが、バルコニーが内部に配置されており、テラコッタの部分はその手摺としての役割も兼ねているようです.

そしてこのルーバーには『バイオスキン』と呼ばれる、都市環境に配慮した革新的な仕組みが組み込まれています. 簡単に説明すると、テラコッタのルーバー内部には、建物で貯めた雨水を循環させる給水管が組み込まれ、循環された雨水の気化熱でルーバー周辺の空気を冷却. 冷やされた空気が地上に降りることで建物周辺の気温下げるという、壁面緑化とは異なるヒートアイランド抑制を実現させました. 打ち水をヒントに考案されたもので、建物外皮そのものが「都市のクーラー」というわけですね.
0048:ソニーシティー大崎 南側のファサード①

0048:ソニーシティー大崎 南側のファサード②

0048:ソニーシティー大崎 南西側のランドスケープ

0048:ソニーシティー大崎 南側道路から緑地を見る

ビルのメインである北東側と『バイオスキン』をご紹介しましたが、今度は裏手にまわって面白い要素を見つけることに. というわけで先程の裏側の南西側ファサードに来ました. 先程の横ルーバーの雰囲気とは全く異なり、所々がテトリスブロックのように凸凹した独特の外皮がありました. よく見ると所々が細長い窓になっています. この窓の配置はランダムでしょうかね〜

実はこの凹凸の凸部分はエレベーターや便所が配置されたコア部分. 凹凸の形状にすることで、周辺のビル風の発生を抑え、西日をシャットアウトして熱負荷も抑えるという徹底した環境負荷の低減を図っています. JR側はペデストリアンデッキがメインの広場空間したが、西側へ降りると様々な植物のある緑地スペースが整備されていました. ランニングする高齢者も往来していて、近隣の憩いの場としても活用されている感じがしました.
0048:ソニーシティー大崎 南東側のファサードを見上げる

0048:ソニーシティー大崎 南東側の緑地

0048:ソニーシティー大崎 ペデストリアンデッキへ連絡する遊歩道

0048:ソニーシティー大崎 ビルの影が投影される北東ファサード

西側の道路に沿って南へと進むと、森といっても過言ではない緑豊かな広場に到着しました. そこから上を見上げると、所々が建物外に張り出した南東側のファサードを確認できます. この出っ張りには太陽光パネルが設置され『バイオスキン』の雨水を循環させる電気を賄っています. 南の日射の有効活用ですね.

そして最後に南西部に拡がる緑地スペースについても少しだけ. 日建設計は「人工的な緑地をどこまで『自然』に近づけるか」という挑戦のもと、コンピュータを用いて種まきから40年後、さらに80年後の植栽計画をシュミレートして樹種・配置を決定しています. ランドスケープもコンピュータ解析の時代なのかと色々思うところはありますが、とりあえず40年後の2051年にはどのようになっているのか注目です. いや〜先がながいな〜

というわけで、今回の紹介はここまでです. 徹底した環境負荷の低減を実現させたオフィスとしての評価の高いビル建築ですが、今日の環境問題への次世代ビルディングタイプのあり方として、これはその一つに位置づけられるほど注目を集めたことは確かだと思います. 残念ながら私は社員ではないので内部は入れませんでしたが、インテリアに関しても色々を見たいな〜と外観見ながら思ってたのでチャンスがあれば… そういうわけで今回はここまでです〜


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