ベネッセハウス - ARCHI'RECORDS(アーキレコーズ)- 建築紹介・建築探訪録        

ベネッセハウス

           
0067:ベネッセハウス メイン(南瓜からの全景)

0067 - ベネッセハウス
竣工:1992年(ミュージアム)/ 1995年(オーバル)
   2006年(パーク・ビーチ)
設計:安藤忠雄
住所:香川県香川郡直島町字京ノ山3419
賞歴:1994年BCS賞

皆様どうも. 少し事情がありまして、更新が止まっておりました. さてさて瀬戸内芸術祭直前特集3発目ですが、開催まであと13日という事で内心焦っています. まだ半分も書けてませんからね〜 急ぎ足で紹介していきましょう.

今回も直島ですが、舞台は島の南側へと移っていきます. 「海の駅なおしま」から発車する町営バスに乗車して約12分ほどで到着するエリアには、世界を代表する建築家 安藤忠雄氏が手がけた美術館施設が数多く存在します. 今回は直島の安藤建築の始まりともいえるベネッセハウスをご紹介していきましょう.
0067:ベネッセハウス 南瓜と奥に点在する各施設

0067:ベネッセハウス 草間彌生氏の南瓜

0067:ベネッセハウス 当日の海は大荒れ

訪問当日は2013年瀬戸内芸術祭の最終日だったため、通常よりも大勢の観光客でごった返してました. 宮浦港からバスで移動する場合の運賃は100円、1時間に2〜3本という密度で運行しています. バス停からすぐの海岸の桟橋には、雑誌でおなじみ草間彌生氏の『南瓜』があります. しかしながら先日の悪天候で海は大荒れ、桟橋はビチョビチョ. 観光客は強い波が来れば避難し、波が引けば走って写真を撮るを繰り返していたのを覚えています.

その桟橋からは、今回の建築であるベネッセハウスが確認できます(写真1枚目参照). 『ベネッセ』と名のつく通り、こちらは進研ゼミで馴染みの深いベネッセコーポレーション(当時は福武書店)によって開業しました. 直島の観光地開発は1960年代から始まっていましたが、石油ショックによって担当していた藤田観光が撤退. 1985年に当時の社長だった福武哲彦氏と村長が意気投合して創設された「直島文化村」を皮切りに、直島のアート事業は急成長していきます.
0067:ベネッセハウス 各施設への案内板

0067:ベネッセハウス パーク棟のエントランス

0067:ベネッセハウス 「ブラインド・ブルー・ランドスケープ」

0067:ベネッセハウス 木造でできたテラス棟・ビーチ棟

0067:ベネッセハウス パーク棟南にあるウッドデッキからの眺め

常設展示された野外作品のある海岸線を抜けて、ベネッセハウスの一棟である「パーク」へとやって来ました. サイトを見てもらえればわかる通り、このベネッセハウスは直島南側に点在する美術館・宿泊施設の4施設(テラス棟などの例外あり)を総称した施設群を指します. 海岸線に存在するのはそのうちの2棟である「パーク」と「ビーチ」で、「パーク」ではアートツアーも開催されています. ツアーでは杉本博司氏の『光の棺』 などの常設作品を見ることができます.

コンクリート打ち放しの認知度が強い安藤建築ですが、「パーク」ではその強烈な素材イメージは鳴りを潜めている印象を受けます. 単なるハコ型ではなく切妻屋根であることも影響していると思います. その南西にある「ビーチ」は宿泊施設のみのため内部へは入れそうにありませんでしたが、安藤氏の建築群でも珍しい木造なため、個人的にはいつか泊まってみたいな〜と思ってます.
0067:ベネッセハウス 「ミュージアム」への登り坂

0067:ベネッセハウス 「ミュージアム」外観

0067:ベネッセハウス 「ミュージアム」入口

0067:ベネッセハウス 「ミュージアム」から海をみる

0067:ベネッセハウス 「ミュージアム」看板

海岸線にある施設群から西に伸びる登り坂を歩いて「ミュージアム」へと到着です. ちなみに登り坂がキツイという人は、島内バス停留所から出ているシャトルバスでも行くことができます. 建物外周壁に施された、いかにもランドスケープとの調和を狙ったのかと意識させられる石垣模様の壁は、経年変化からか旧城郭の石垣跡のような古めかしさのある雰囲気に仕上がっていました.

直島の安藤建築の起源はこの「ミュージアム」で、当初は「直島コンテンポラリーアートミュージアム」という名称で1992年に開業しました. 福武哲彦氏の急死によってバトンを渡された福武總一郎氏と安藤氏が、初対面ながらも居酒屋で意気投合したということで、安藤氏に「直島国際キャンプ場(1889年開館:現存せず)」のマスタープランを依頼した等の縁もあって実現. 美術館+ホテルという当時としては珍しいスタンスの美術館でした.
0067:ベネッセハウス 「ミュージアム」内観

0067:ベネッセハウス 「ミュージアム」テラスから①

0067:ベネッセハウス 「ミュージアム」テラスから②

撮影時期が3年前で、他サイトを見ても内観写真がチラホラあったりと掲載のボーダーが曖昧ですが、作品が明確に映らない範囲で内観を掲載しています. 館内は地下を含めた4層構造. ミュージアムは地下から2階で、3階と2階の一部がホテル客室です. リチャード・ロングや大竹伸朗をはじめとした現代美術家の作品を取り扱っており、ギャラリーツアーも行われています. 地階にある円形ホールのようなRC空間はまさに安藤建築って感じでした.

以上でベネッセハウスの紹介は大体終わりですが、宿泊する人に是非お勧めしたいのが「ミュージアム」からのモノレールでしかアクセスできない「オーバル」です. 建物中心に楕円形の天井開口と水盤の周辺に客室が配備されるという、写真を見てるだけでも幻想的です. しかしながら宿泊料は最安でも一泊29000円と、高級ホテルもびっくりの超高額. 現在の私では到底手が出ません…お金に余裕がある方は是非. ではでは今回はここまで〜


◆ この記事に関連する建築マップ
瀬戸内建築マップ - 岡山・香川の瀬戸内海を中心とした建築マップ


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