2016/03/11



まずはフェリーターミナルである「海の駅なおしま」から宮浦港付近の町並みを歩いていきます. 町の奥にある風戸山(せとやま)からは直島全体を見渡せる展望スポットとなっています. 精錬所によって栄えた東の本村地区よりも、漁業集落としての性質を色濃く残す宮浦地区には、アートの島という雰囲気の少ない喉かな離島集落の風景を今なおも残し続けています.



宮浦地区を少し北に歩いて狭い路地を抜けた先に、今回の主役であるギャラリーが見えてきます. シンプルな箱型のボリュームの正面は、十字格子状に組まれた鉄骨のファサード、そしてガラスには『999』のマーク. この建物は宮浦地区初の展示施設として、前回の瀬戸内芸術祭の開催にあわせて改修されました. 改修前は『PARLOR Three Nine』というパチンコ店だったらしく、ガラスにプリントされたマークは当時の遺構として残されているものです.
設計を手掛けたのは西沢大良(にしざわ たいら)氏. 1993年の独立から2000年初頭までは住宅を主に手掛けていましたが、近年ではこのギャラリーや静岡にある「駿府教会」などの公共施設も手がけています. 実は同氏の弟はプリツカー賞を受賞したSANAAのメンバーであり「豊島美術館」も手掛けた西沢立衛氏. 兄弟揃って有名建築家とは凄いものです.
瀬戸内芸術祭期間中は芸術祭パスポートで入場可能. 館内は広々としたワンルームの展示空間で、特徴的なのはこの展示室の壁がすべて黒色で仕上がっていることです. 壁面全面が黒色のため作品が際立ち、天井からのトップライトで一部の壁面は柔らかい陽の光で白く映るのも印象的. 天井のアルミルーバーの隙間からは木造トラスで組まれた構造体をみることができ、暖かい木の色合いを感じる事もできます.




鑑賞後に外に出て北側にまわると、木のルーバーが印象的な外観を見ることができます. 建物の北は児童公園である宮浦公園に隣接しており、ベンチに座りながら木々で設えられたギャラリーを眺められます. 扉が開いていますが、この先は間室となっていて、手前には人が座れる高さに造成されたコンクリートのベンチが整備されています. 本来はビデオ展覧会用の客捌きとしてある客室ですが、個人的には間室をステージに、コンクリートベンチを客席にすれば地域の人も楽しめる野外ホールに早変わり…なんて使い方すると楽しそうだな〜と思ったりもしました.
普段はターミナルでしか利用しない人が多いであろう宮浦地区ですが、こういう路地奥にあるひっそりとした場所にあるギャラリーというのも直島建築の一つの魅力だと思います. 実は直島を歩くと個人でやっているギャラリーとかをたま〜に見かけたりするので、興味がある人は探してみるのもいいのではないでしょうか. ではでは今回はここまで〜
2016.7.16. 掲載写真を2016年春訪問分に更新
◆ この記事に関連する建築マップ
・ 瀬戸内建築マップ - 岡山・香川の瀬戸内海を中心とした建築マップ
※ Map上に位置しているギャラリー六区の場所は、実際の場所から少し東にズレています. ご注意ください.
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