2016/03/12
家プロジェクト「南寺」

0071 - 家プロジェクト「南寺」
竣工:1999年
設計:安藤忠雄
住所:香川県香川郡直島町本村
皆様どうも. 瀬戸内芸術祭開幕が一週間前となり、公式サイトでも様々な情報がリリースされています. 訪問予定の皆様は芸術祭のチケットは購入ましたでしょうか. 有料鑑賞作品もかなりの数があるので、じっくり色々と鑑賞したい方は購入しておくと便利です. 私も前売券買いたいのですが、まだ買えていません… 前売販売は3月19日までです.
ではでは瀬戸芸直前特集7件目になります. 舞台は直島東部、「地中美術館」や「李禹煥美術館」がある直島の南エリアと肩を並べるほどのアート施設が点在し、役場などの行政施設も置かれる本村地区. 今回はこの地区のメインとなるアート施設 家プロジェクトと、その中で唯一の安藤建築である南寺をご紹介します.




直島の玄関口である宮浦地区と並ぶ集落エリアであり、直島-豊島間の連絡高速船においては主要港となる本村港がおかれた本村地区. かつては直島・男木島・女木島を統治していた旗本 高原次利(たかはら つぐとし)率いる高原家が築城した直島城の城下町として栄え、白壁と焼板で設えられた当初の町並みが色濃く残るエリアです. 石垣で整備された水路など、島民の生活の中にこのような城下町の遺構がひっそりと残っているのが、町並み好きにはとても羨ましく感じます.

家プロジェクト『角屋』

家プロジェクト『護王神社』

家プロジェクト『碁会所』

家プロジェクト『石橋』

家プロジェクト『はいしゃ』
1992年に「ベネッセハウス」を開館させたことで、福武氏が主導する直島のアート事業が本格化することとなりますが、島民の関心は薄かった(wiki談)といいます. そこで福武氏によって1997年に構想されたのが、本村地区内の古民家を現代アート作品に生まれ変わらせる『家プロジェクト』でした. 廃屋を壊さずアート作品としてリノベーションするこの試みは、後の芸術祭や他のアートイベントでも見受けられるようになる先進的な試みでした.
プロジェクトとして整備されたのは第一号である『角屋』をはじめ、『きんざ』『護王神社』『はいしゃ』『石橋』『碁会所』『南寺』の7棟で、どの施設も基本的には芸術祭のチケットだけで入館でき、各施設には内藤礼氏・杉本博司氏・千住博氏など著名な現代美術家の作品が展示されています. 個人的には『はいしゃ』のイロモノ感はハンパじゃなかった思い出があります. 注意として『きんざ』だけは完全予約制ですので、HPサイトでの予約確認が必要です.




そんな第一号である『角屋』ができた翌年の1999年に、本村地区の南エリアにできたのがこの『南寺』です. 設計は安藤忠雄氏、施設内にはジェームズ・タレル氏の『Backside of the Moon』が展示されています. 濃い色調で彩られた木貼りの外壁、遠目からでないと見えない屋根は入母屋の形状をしており、安藤建築としては珍しい純木造の建築ではないかと思います. かつてこの場所に明治時代まで寺院が建っていたことが、この施設の由来となっているようです.
南寺を訪問するとおよそ30分、長ければ3時間後の整理券が配布されます. というもの、この南寺は鑑賞スタイルが独特で、15分ほど設けられた鑑賞時間には15〜20人ほどしか入場できないという少人数鑑賞となっています. 内部に入ると中は真っ暗、前も見えないほどの真っ暗です. 初めは列の前後の人と手をつないで壁沿いに歩き、部屋の真ん中くらいで一度座ることになります. そうすると次第に……これ以上言うと面白くないので、この先は実際にあなたの目で確かめることをお奨めします.
鑑賞後に南に隣接した広場に併設された円筒型のトイレを使ったのですが、外壁の設えといい南寺とそっくりで「これも安藤建築では!?」と疑ったのですが、詳細な記録は一切見つからず真偽は不明のままです. だれかこのトイレについて詳しく知っている方がいたらご教授お願いしたいです. ではでは今回はここまで〜
◆ この記事に関連する建築マップ
・ 瀬戸内建築マップ - 岡山・香川の瀬戸内海を中心とした建築マップ
※「南寺」の位置情報がないため、Mapでは「角屋」の位置を掲示しています. 正確な「南寺」の位置は「極楽寺」と記された施設の南側付近になります.
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コメント
No title
家プロジェクト「南寺」というのは面白いですね。ご紹介されているプロジェクト『はいしゃ』大変楽しそうでまさに現代アートの心を感じますね。
現代アートの楽しみ方は、意味など考えず感ずるがままに楽しむことだと思います。それが旧来からの美術との違いと理解しています。
画家の意図を理解するアートから五感で感ずるアートに変革した、美術史に巨大な足跡を残した巨匠画家についてレポートしてみました。現代絵画やアートを理解する上でご参考になると思いますので、ぜひ覗いてみてください。
2016/03/21 19:17 by dezire URL 編集