


この場所までは町営バスで農協前バス停で降り、南への小道を通って約2分ほど. 島内で配布されている地図を照らしながら歩くと確実です. この美術館は
「ベネッセハウス」をはじめとする、安藤氏が直島で携わってきた活動の集約・展示を目的として2013年に開館しました. 直島のアート事業が瀬戸内芸術祭によって勢いを増していることは知っていましたが、まさか安藤氏の美術館が直島にできるとは当初思ってもいませんでした.
安藤建築というと、どうもゴテゴテの打放しRC建築を想像しますが、実際は塀・門そして立派な前庭空間のある民家の外観で、コンクリ要素はどこにも見当たりません. これはどういうことかというと、この美術館はこの土地に元々ある築100年ほどの民家をリノベーションしたものです. 安藤氏のリノベーション作品というと上野の「国際子ども図書館」、海外では「プンタ・デッラ・ドガーナ」の再生計画等の作品がありますが、民家でのリノベ作品はこれが唯一でしょう.


隅に透明な三角錐
(写真5枚目)のある玉砂利の敷かれた前庭を渡って館内へと入ると、コンクリートに支配された安藤ワールドが展示室一面にひろがっています. とりわけ印象的なのは斜めに傾斜したRCの壁面、この壁はトップライトからの光を奥の展示空間へと反射させる役割を担っています.
個人的に強く思ったのは
木とRCの対立でした. 屋根を支える梁、展示室中央に一本だけ落ちる柱など、この民家を支える構造的な主役は木材です. 一方で空間を支配するのは、その屋根とは全く連続しないRCの壁面なんですね. 一見相入れそうにない二つの材料を用いながら「光の教会」や
「地中美術館」のような、陰翳礼讃に劣らない光の演出を仕掛ける. RCだけに頼らない光の空間への挑戦、この空間はそういうメッセージを含むのではないかと、勝手ながら私は思っています.
短いながらも今回はここまでです. 余談なのですが、この美術館や大三島にある「今治市伊東豊雄建築ミュージアム」をみると、建築家の個人ミュージアムはなぜ瀬戸内海の離島を選ぶのか、個人的には非常に気になっています. ではでは今回はここまで〜
2016.7.10. 掲載写真を2016年春訪問時のものにフルリニューアル
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瀬戸内建築マップ - 岡山・香川の瀬戸内海を中心とした建築マップ
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