香川県立東山魁夷せとうち美術館 - ARCHI'RECORDS(アーキレコーズ)- 建築紹介・建築探訪録        

香川県立東山魁夷せとうち美術館

           
0073:香川県立東山魁夷せとうち美術館 メイン

0073 - 香川県立東山魁夷せとうち美術館
竣工:2005年
設計:谷口吉生
住所:香川県坂出市沙弥島字南通224-13

皆様どうも. 最近西武鉄道が建築家 妹島和世氏がデザインした特急電車を2018年に導入すると発表しました. 建築家がデザインした特急といえば若林広幸氏の『南海ラピート』や岡部憲明氏の『小田急ロマンスカーVSE』などデザイン性の高い特急車両を手掛けてきた印象があるので、私は非常に注目しています. そんな思いでイメージイラストを見ると…なんか風景に溶け込むということをド直球で表現したデザインに驚きを隠せませんが、2年後の西武の動向に目が離せません.

それでは瀬戸内芸術祭特集シリーズの続きです. 今回の舞台は瀬戸内芸術祭で春シーズンしか開催されない唯一の島 沙弥島(しゃみじま)から、この島にただ一つ存在する美術館 香川県立東山魁夷せとうち美術館をご紹介していきます.
0073:香川県立東山魁夷せとうち美術館 瀬戸大橋を眼前に望む

0073:香川県立東山魁夷せとうち美術館 『階層・地層・層』

0073:香川県立東山魁夷せとうち美術館 ナカンダ浜から瀬戸大橋を眺める

島へのアクセスは、鉄道の最寄りとなるJR坂出駅から市営バスを利用します. 今年も瀬戸芸期間限定のシャトルバス(時刻表URL)が運行されるので、それに乗れば島まで約20分ほどです. この説明を聞いて「え? 島なのにフェリー使わないの?」と疑問を持った人もいるでしょう. じつはこの沙弥島、瀬戸内芸術祭に参加する島としては四国本土と陸上で繋がる唯一の島です. 元々は離れ小島だったのですが、工業地帯を造成するための埋立事業によって、四国本土から続く埋立のエリアがどんどん北へと伸び、最終的には島と合体して陸続きとなりました.

沙弥島自体は万葉集の歌人 柿本人麻呂ゆかりの地ということから『万葉の島』とよばれ、島内には文学碑や「人麻呂岩」なる岩も存在します. また本四連絡橋のひとつ『瀬戸大橋』の四国側の袂(たもと)に位置することから、瀬戸大橋を眼前に一望できるビュースポットとして名高い島です. バス停すぐの広場には2013年からの継続作品であるターニャ・プレミンガー氏の『階層・地層・層』という小高い丘の作品が設置されており、その丘上からも瀬戸大橋を一望することができます.
0073:香川県立東山魁夷せとうち美術館 正門アプローチからの外観

0073:香川県立東山魁夷せとうち美術館 西側から建物外観をみる

公園広場から北へすぐ向かったところに、今回紹介する美術館があります. 白い石材が敷かれたアプローチの先に、白と青銅色の2色の色合いの冴える外壁. 西側からはこの青銅色の壁が薄い一枚壁であることが確認でき、白いハコ型のボリュームの奥面に青銅色の大きな一枚板を貼り付けた外観形態であることが伺えます. ハコと板というシンプルさも相まってか、実際にアプローチの手前からこの美術館を見たとき「かっこええ…」とボソッと口から出てしまいました.

この美術館は昭和期に活躍した風景画家 東山魁夷(ひがしやま かいい)氏が描いた絵画およそ270点を収蔵・展示する文化施設として2005年に開館しました. なぜ瀬戸大橋の袂にこのような美術館があるのかというと、この場所からさらに北にある櫃石島(ひついしじま)が東山氏の祖父の出生地であるということで、その島を望むに適した地としてこの場所に決まったということです.

このとき設計を担当したのは「京都国立博物館 平成知新館」や「法隆寺宝物館」を手掛けた建築家 谷口吉生氏です. 装飾性のないシンプルかつ美しいモダニズムな外観をもつ谷口建築ですが、この美術館で独特に感じるのは美術館手前のアプローチが建物に対して垂直方向(90度)ではなく斜め角度であるため、当館の全体的な立体感が際立って見えること. 谷口氏の建築をこういうアプローチから眺められるというのは、個人的にはとても新鮮な感じがしました.
0073:香川県立東山魁夷せとうち美術館 ショップスペースの様子

0073:香川県立東山魁夷せとうち美術館 カフェスペースから瀬戸大橋を眺める

2013年の芸術祭では、鑑賞券を見せれば1〜2割ほど鑑賞料が割引になった覚えがありますので、利用する場合は予め受付に確認をお願いします. 一人の画家の数百ほどの収蔵品しかない小規模の美術館であるため、他と比較すると展示作品数は非常に少なく、ザラ見程度なら15分程度で見終わってしまいます. 東山氏の風景画の特徴は、どこか絵本のような世界観を想起させる豊かで明るい色使い. 数少ない絵画作品をじっくり眺めて、感性豊かな東山ワールドに入り浸るのもイイと思います.

そんな展示空間を抜けた先には、カフェスペースとショップが一体となったラウンジへと到着します. 視線を外に向ければマリンブルーに輝く瀬戸内海と、その上を通る瀬戸大橋を一望できるなんとも素晴らしい絶景スポットとなっています. 青銅色の板が大きいため、裏側の様子がアプローチの位置からではわかりませんでしたが、実際はこんな感じの絶景を望めるカフェがあるとは恐れ入りました.

瀬戸芸では春限定となる沙弥島、冬の寒さも去って暖かみが増したときにでも島を訪問・周遊して、一服の際には芸術鑑賞も込みで絶景カフェを楽しむというのもアートイベントならではの楽しみ方です. 春開催は4月17日まで、旅行のご検討はお早めに. ではでは今回はここまで〜


◆ この記事に関連する建築マップ
瀬戸内建築マップ - 岡山・香川の瀬戸内海を中心とした建築マップ


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