





文化会館はJR上野駅公園口を出て目の前に建つグレーの建物です. 東京都開都500年祭記念として1961年に竣工したこちらの都立ホールは、近代建築の巨匠ル・コルビュジエに師事した日本人建築家 前川國男
(まえかわ くにお)氏の代表作. 前川氏は1928年から30年までコルビュジエの事務所に入所し、帰国後は「神奈川県立図書館・音楽堂」や
「京都会館(現:ロームシアター京都)」を手がけ、戦後近代建築の牽引役として活躍. 文化会館は竣工同年に建築学会作品賞を受賞しています.
「EXPO'70パビリオン」に代表される鉄骨造や「東京都美術館」に代表される『打ち込みタイル』の美術館など、前川氏の作風は多岐にわたりますが、文化会館はコルビュジエのデザインを色濃く引き継いだ造形的なデザインが特徴. 中でも目がいくのは建物上部のめくれ上がった庇. 随所には窓をイメージしたかのような開口
(写真4枚目)が施されていますが、外側に向かって降りていくのが当たり前な庇が、端部でクルッとめくれ上がる
(写真6枚目)のが実にユニークです.





こちらは西洋美術館もある北側から撮影した外観のものをいくつか. 横に長い庇が数本の細い柱によって持ち上がる様
(写真1・2枚目)は実にダイナミック. コルビュジエ譲りのサッシ割り
(写真3枚目)もいいですね. 各入口の風除スペースは両壁がカーブした造形的なものとなっており、扉の取っ手
(写真5枚目)も壁のカーブに沿ったデザインになっているのが面白かったです.






写真に載せているのは南側の外観で、こちらのファサードを見るのは17年春の再訪が初めて. 砕石パネルによる巨大な石垣の部分
(写真1・2枚目)は大ホールのフライタワー. 庇の真下に異なるマッシヴなボリュームが積み上がっており
(写真4枚目)、庇と柱というシンプルな構成だった北側とは別の面白さがあります. 個人的におっとなったのは室外機隠しのパネル
(写真5枚目). 緑の奥にゆったりと佇む文化会館
(写真6枚目)が見れるのも南側ならではです.
館内は文章のみのご紹介. エントランスの天井・壁を彩る青・赤のカラフルな色合いは、子供の遊び空間にいるようなワクワク感があります. 天井照明の配置もランダムになっており、夜空に浮かぶ星のような遊びのデザインが施されているのがポイント. 三角形を組み合わせた床タイルのデザインにも注目してみてください.
『日本初の本格的コンサートホール』を銘打って設計され、音楽の殿堂として親しまれる大ホール空間も見所です. 個人的には彫刻家が内装を手掛けた、洞窟空間のような小ホールを見たいな〜と思っていたのですが、訪問当日は公演時期ではなくゲートも閉まりっぱなし. 前川氏が本格的に携わった初のホール空間ということですが、こちらは今度の訪問までお預けです. 上野に佇むモダニズム名建築を是非一度お越しください.
※ お詫び
2017年春の再訪で館内スタッフにお伺いしたところ、館内撮影はご遠慮いただいているとのことでした. 従いましては、以前まで掲載していた館内ロビー写真3枚の公開を停止します. 大変ご迷惑をお掛け致しました.2017.4.3 全写真を2017年春の画像に変更 & 文章を大幅に変更
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