



1枚目の写真はフェリーから港全体を撮影したもので、右手にある白い物体が目印です. 後ろに見える集落と見比べると、雑誌で見るよりも巨大な印象を受けます. 中の人の様子がうっすらと見え、奥の景色と同化するような半透明の膜で覆われたこのパヴィリオン. 色合いが白で統一されていることから、さながら『雲』のようです. しかし輪郭は雲特有のボヤッとしたものではなく、形のあるハッキリとしたものなので『結晶化した雲』という表現がしっくりきそうです.
直島町の町制施行60周年記念事業の一環として完成したこちらのパヴィリオンは、町に所属する27の島にちなんだ『28番目の浮島』をコンセプトとして建築家 藤本壮介氏が手がけました. 瀬戸内芸術祭の作品(作品番号:005)に指定されていますが野外展示になるため観覧は自由. 加えて会期を問わず通年で観覧することができます.





パヴィリオンに近づいてみると、半透明に見える膜の正体は白塗装がされた金網メッシュであることがわかります. 材料が金網ということで、人が乗ってもOKなのかと心配でしたが、どうやら大人子供が10人ほど乗っても大丈夫なようです. 内部は金網によって様々な起伏がつけられおり、子供が寝転がったり大人が座ったりと各々が自由に休んでいるのが印象的でした. しかし地面付近の金網は妙にボヨンボヨンしていて、その違和感にびっくりした外人がすっ転ぶ一面も…
先程この白く半透明な様を『雲』と称しましたが、藤本氏はこれ以前にも雲のようなパヴィリオンを英国ロンドンの「サーペンタインギャラリー」で手がけています
(関連サイト). こちらはスチール鋼を立方体状に組み上げたもので、その間にはめ込んだガラス板を伝って登ることができるというものです. 今回のパヴィリオンは海沿いという風の厳しい環境下で、スチールだけの組み合わせで多面体状に空間をつくるという点で構造的・空間的に非常に大胆な試みだな〜と思いました.



夕方ごろ帰りの便に乗る手前に撮った写真をあげています. 夕日に照らされた部分は白く、影になった部分は黒く、明暗のある2色のコントラストで彩られたパヴィリオンは、昼間の真っ白な雲とは全く別の表情を見せてくれていました. 夜になると周囲に設置されたライトによってライトアップされるらしく、直島に宿泊できたなら是非一度生で見てみたいな〜と思います.
2016年度から新しく作品に加わった宮浦港のパヴィリオン建築いかがだったでしょうか. 草間弥生氏の「赤かぼちゃ」と並んで宮浦地区を代表するアートオブジェとしても今後注目されていくことになるこのパヴィリオン、直島に来た際は是非一度中に入ってみてはいかがでしょうか. ではでは今回はここまで〜
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瀬戸内建築マップ - 岡山・香川の瀬戸内海を中心とした建築マップ
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