



最寄りは伊予鉄道軌道線(路面電車)の大街道
(おおかいどう)駅です. 松山城へのロープウェイ乗り場への最寄駅にもなっているため、駅付近は観光客でドッと溢れかえっていました. ミュージアムへは大通り北側の歩道を少し西へ進むと、行き先を指した青い看板が見えるので、それに沿って進むと見えてくるガラスとコンクリートが特徴的な建物が目印となります.
ミュージアムの名前になっている『坂の上の雲』は小説家 司馬遼太郎
(しばりょうたろう)氏によって書かれ、1968年から4年半にわたって産経新聞の夕刊で連載された長編小説です. 愛媛出身の軍人 秋山好古
(あきやま よしふる)と秋山真之
(あきやま さねゆき)の秋山兄弟と俳人 正岡子規
(まさおか しき)の3人にスポットを当て、明治初頭から日露戦争までの生きざまを綴っています. 近年ではNHKドラマにもなったそうですが、私自身は全く知りませんでした.




写真では正門から玄関部に至る長いスロープまでの様子を載せています. 松山城が座する城山公園の森林がすぐ北に迫る窮屈な場所にあるミュージアムですが、そのガラスは一段上がるごとに僅かに外にせり出すギザギザのファサードになっています. ピロティには水盤が設けられていますが、よく見ると正三角形に細かく区切られた面白い仕様です. 長いスロープを明日程度登った場所から後ろを振り返ると、北の山林がガラスに映る味わい深い表情をつくりだしていました.
設計を手掛けたのはコンクリートの建築家でおなじみ安藤忠雄氏. 直島にバンバン存在する四国の安藤建築ですが、愛媛でもミュージアムの設計を手掛けています. 2001年に「司馬遼太郎記念館」の設計に携わった経緯から、司馬氏の関連施設であるこちらの設計を指名されたそうな. コンクリートよりもガラスの存在感が冴える外観から
「尾道市立美術館」と似たタイプの作品に感じます.





観覧料400円を払って館内へと入ります. 館内は打ち放しコンクリート感満載の安藤建築ワールド. エントランスは最上階のトップライトから途中階の合間を縫って落ちる自然光が僅かに照らす今までに見たことのないロビー空間です. ガラスファサードに面したライブラリースペースからは、大正時代の洋館「萬翠荘
(ばんすいそう)」と森林を広々と見渡せる気持ちのいい光景が広がっていました.
写真5枚目はライブラリーに展示されていた周辺模型です. この模型や案内平面図
(写真2枚目)をみると、このミュージアムは正三角柱のボリュームで建っていることがわかります. 館内の展示室へは、中心に設けられた正三角形のホールの外縁を回るように設けられたスロープを進むという、他に類を見ない展示動線です. ライブラリーには模型の他に安藤氏のスケッチ等が展示されているのですが、著作権云々がありますのでここでの掲載は差し控えます.






展示品以外は撮影OKということで写真をババっと載せています. 写真を見ると館内の壁は垂直ではなく、外側に倒れるようにわずかに傾いています. 外側に倒れこむことで外周にいる人はガラスの展望に、一方で内部の人の展示空間に意識が向くようにこうしたそうです.
他にも3階と4階を支柱無しで上り下りできる『空中階段』があり、これは全国でも珍しい構造だそうです. 確かに踊り場付きでこれほどのスパンを支柱無しで飛ばすのって至難の業な気がしますが、構造的にはどうなっているのか私にはわかりませんでした. トップライトから落ちた自然光を、傾いたコンクリート壁で広がるように反射させる仕掛けは
「ANDO MUSEUM」でも見受けられた仕掛けで、光の扱い方はさすが安藤氏だな〜と思いました.
全体の形が形だけに正三角形のデザインが様々なところで見られるのも面白いところで、ホールの吹き抜けも正三角形
(写真6枚目)ならば床のタイル
(写真5枚目)にワーク机、外の水盤など様々な部分で正三角形を見ることができます. 個人的にはこの正三角形が『坂の上の雲』とどう絡むのか気になっているのですが、トイレ最中にある親子連れが放った「3人の主人公の三角関係を表現しているんだと思うよ〜」という恋愛小説のような意味合いではないことを祈りたいです. ではでは今回はここまで〜
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